100歳、ずっと必要とされる人

100歳、ずっと必要とされる人 ――現役100歳サラリーマンの幸せな生き方
100歳、ずっと必要とされる人 ――現役100歳サラリーマンの幸せな生き方 [単行本(ソフトカバー)]


最初に言っておくが、本書は先の65歳定年制度に対するアンチテーゼでも、まして
定年制度を廃止せよといった政策提言の書でもない。
ある会社に100歳のサラリーマンお爺ちゃんがいて、その人の人生観や職業観を紹介する
という、それだけの話である。そのお爺ちゃんにしても、大企業の創業者だとか、
昔これこれで有名だったとかいうたぐいの人ではなく、本人の言葉を借りれば
「ただ長生きしただけの人」である。

という、異例に普通な本なのだが、なかなか味わい深いうんちくに満ちた書だ。

氏が慶應大学経済学部を卒業したのは1936年。
卒業年に「ヤマイチショックがあった」とか「リーマンショックがあった」という人は
珍しくも無いが、「2.26事件があった」というサラリーマンは、恐らく日本で福太郎氏
ただ一人だろう。


氏はそのまま慶應大学経済学部の助手になったので、平時であれば経済学部の教授
として天寿を全うしていたかもしれない。ただ、世は戦時である。氏も徴兵されその後の
9年間を軍隊で過ごすことになる。

無事に生き残ったものの、復職したら自分より十歳近く年下の最新の知識を身に付けた
若者たちで大学が溢れているのをみて、氏はアカデミズムの道を断念する。
そこから家業を継ぎ、紆余曲折を経て、49歳でサラリーマンとなり、今にいたるというわけだ。

100歳のサラリーマンと聞くと、恐らく多くの人は、職場に居座っているだけの人を
想像するのではないか。だが福太郎さんは違う。96歳で退職を申し出た際も、
会社側から慰留され、今でも一時間かけて通勤している。むしろ、人材的に必要と
されているわけだ。

そのコツはなにか。本書によると、それは“利他の精神”であるとする。
滅私奉公とか清貧思想とか、そういうものではなく、人のことを考えて行動するように
心がければ、やがては自分のためにもなるというスタンスで、どちらかというと
「情けは人のためならず」に近いかもしれない。

具体的に言うと、氏は若いころから出世やお金にあまり欲が無く、40代になって
サラリーマンを始めたきっかけも、大学時代の親友から誘われ、彼を支えるために
一肌脱ごうと入社したのがきっかけだった。以来、その親友や、親友の残した会社、
同僚を支えようという思いで働き続け、気がつけば「残ってください」と請われる側に
なったのだという。

これは、若いころに年功を積み上げておき、40代以降で見返りとして昇給やポストを
勝ち取るという終身雇用型キャリアパスとはまったく異質のものだというのがよくわかる。
そういう過酷な出世競争を繰り広げた人々が、いまやリストラ対象となり、勝ち得た
既得権の維持に汲々とする一方で、福太郎氏がひょうひょうと出勤している姿は、
まさに対極と言っていい。

筆者は、氏の働き方、生き方こそ、これからの一つのスタンダードになる予感がしている。
ついでに言うと、氏ははからずも「40歳を節目として第二のキャリアを考える」という
40歳定年制を先取りしているわけだ。

最後に、筆者が個人的にぐっときた言葉を引用しておこう。男性諸氏は必読である。

夫婦が別々に亡くなるなら、女の人が後に残る方がいい。奥さんが先に亡くなると
男はつらいからね。でも見ていると、女の人は、違うみたいなんだよね。
僕の知り合いで、夫婦で謡を習っている人がいたんだけれど、旦那さんが先に
亡くなっても、奥さんは悲しみにくれるどころか、どんどん元気になっていった。
でも逆の場合、旦那さんは気落ちしてしまう人が多いんだ。















ある転職者の手記 デフレ地獄からデフレ天国へ

これは筆者の知人から委託された手記である。吉川氏の「デフレーション」を読んで
いたく感動したとのことで、書いてはみたが発表する場が無いというので筆者が
買い取らせてもらった。示唆に富む内容なので、最後に解説を加えつつ紹介したい。



今から十数年ほど昔、私は都内のそこそこいい大学を出て、一流と呼ばれる
大手家電メーカーに入社し、本社の営業部門に配属された希望にあふれた若者でした。
当時は、実家や親せきから「あの有名な、コマーシャルをばんばん流してる会社ですね」
とほめられたものです。

でも、私はすぐにある事実に気付きました。田舎で家業の大工を継いだ中学の同級生
より、自分の方が手取りが低いのです。田舎だから駐車場代なども安いし、実家暮らし
なら家賃も浮くから、実際に使える金額で見ると百万円以上自分の方が低所得だった
記憶があります。
「でも、大手は初任給からこつこつ上がるから最初は仕方ない。30代、40代で
ぐんと上がっていくのだろう」と、その時は自分を慰めつつ、日々の業務に精を出しました。

さて、そこから時計の針を少し前に進めます。30代になっても、筆者の賃金は
牛の歩みのごとくなかなか上がりませんでした。2000年頃はデジタル家電の波に
乗って決算も好調でしたが、その後、韓国中国メーカーが急速に台頭する中で
業績は伸び悩み、経営陣は当然のごとく我々従業員のボーナスをカットしつづけた
からです。せいぜい年間で5カ月程度といったところです。
我々若手については昇給までカットされ続けたので、まさにダブルパンチ状態でした。

私自身の責任だと思う人もいるかもしれません。でも、私のいた事業部は過去十年間
ずっと黒字を計上し、本体の業績をけん引し続けていました。私自身、その中で
少なくない貢献が出来たと考えています。実際、30代になって複数のヘッドハンター
からオファーをもらったことからしても、私がこの業界でそれなりの評価をされていた
と思っています。

でも、ボーナスが2割程度、同僚と比べて上乗せされることはあっても、私の賃金が
大きく上がることはついにありませんでした。理由は、社内の他の赤字の事業部や、
戦力になっていない同僚を養わなければならないからです。儲かったからと言って
我々の賃金だけぱっぱと上げてしまうわけにはいかないのです。

よく政治家や文化人で「企業は従業員の雇用を守れ」というようなことを口にされる
人達がいますが、正確には「従業員は従業員同士で融通して助けあえ」というべきです。
企業なんてパイを分配するチューブの集まりにすぎません。企業に雇用絡みで
何かを負担させるということは、従業員同士で支え合わせることであり、
“出来る社員”や“若手社員”の上前をはねて他に回すということなのです。

昔は、私自身もそういうものだと割り切っていました。成果をあげられなくても、入社以来、
同じ釜の飯を食ってきた戦友なのは事実で、苦しい時はお互い助け合うべきだ。
また、そうすることで、日本企業の競争力の源泉たるチームワークも生まれるに違いないと。

でも、今にして思えば、明らかに私は間違っていました。万年赤字事業部は、何年
たっても赤字のままでした。常に不採算事業や人員のリストラを繰り返し、アメーバの
ように多国籍間で選択と集中を続けるグローバルカンパニーに対し、国内一社の
持久戦で勝負しても、時間稼ぎにはなっても勝ち目などないのです。
硫黄島に穴を掘って籠城するようなものでしょう。

同じ部署で、モチベーションをとっくの昔にロストし、最低限言われたことしかやろうと
しない同僚も、何年たっても何も変わりません。変わろうという姿勢すら見せません。
ボーナスのたびに(実質的には社員全員からのカンパ額である)数十万円が振り込まれ
ているのを確認して安どの色を浮かべつつ、またPCに向かって仕事をしているふりを
するだけです。

だがなにより、そういった事業や従業員のリストラに踏み切ることなく、数年の任期を
穏便に送ることに汲々とするサラリーマン経営陣たちが諸悪の根源でしょう。
巨額の赤字につながる馬鹿な投資を行いつつ、組織改革には全く手をつけないまま
「人の良い経営者」として一線を引いた人間は、今ごろ悠々自適の生活を送っていること
でしょう。

チームワークとは、みんなで何かの目標に向かって挑戦するためのものだと考えて
いましたが、少なくとも私のいた会社では
「やらなければならないことを先送りするための言い訳」
として使われていたように思います。

最後に、時計の針を今に戻します。二年前、私はヘッドハンターのオファーの一つを
受け、新興国系の電子部品メーカーの日本法人にマネージャー職として転職しました。
給与体系は完全年俸制で、来年の保証はないが、出来高に応じてほぼ青天井で
ボーナスが支給されます。ちなみに、今年の年収は前の会社の3倍近くいただいて
いる計算になります。

ちょうど今、目の前の家電量販店のショーウィンドゥには、かつての同僚達の血と涙の
結晶である液晶テレビが並べられています。52型で20万円以下だから、利益なんて
ほとんど出てはいないでしょう。そばには同じような国産家電メーカーの同じような液晶が
やはり同じような価格で叩き売られています。

これらはみな、あの“チームワーク”の産物なのです。きっと、社内には儲かっている
のに安月給で我慢させられている人がいるはずです。そして、そんな人達からのカンパ
に安どしている人達も、それ以上にいるはずです。みなで広く薄く分け合った結果、
誰も勝ち組がおらず、各社事業撤退しないから市場が製品で溢れ、泥沼の値引き合戦
が続いているわけです。

今ごろ、社内の雰囲気がどうなっているかは、想像するだけで背筋が寒くなります。
出口の見えないトンネルの中で、日に日に乏しくなる水と食料を分け合いつつ、
疑心暗鬼に陥っているようなものでしょう。

そういえば政治の世界では、アベノミクスの名のもと、日銀に異次元の金融緩和を
させる壮大な社会実験が展開中です。人によっては、デフレ脱却を期待している人も
いるかもしれません。でも、それについては、私は悲観的です。

言い換えればデフレとは、皆で責任放棄したまま、我慢比べをだらだらと続けてきた
結果です。私の目には、中央銀行が云々というのは、ある意味、究極の責任放棄政策
にしか見えません。

とはいえ、私自身は、自分の人生についてはとても楽観的です。もう我慢比べは
きれいさっぱり卒業し、まったく別の力学に基づく世界で暮らしているからです。

たとえば今も、自分は成果に応じた年俸を受け取りつつ、元同僚たちが我慢比べを
しながら廉価販売してくれる製品を安値で入手することが出来ます。デフレというのは、
我慢比べの世界を抜けだした者にとっては素晴らしく住みやすい世界だと自信を持って
断言できます。いろんな会社の従業員が一生懸命賃金を削って安く提供してくれるもの
を労せずして手に入れられるのですから。

ついでにいうと、他の国であれば失業者になって社会保障給付でカバーされるべき
コストも、正社員共同体の皆さんがカンパしあって補ってくれているわけですから、
そういったコスト負担からも我々は自由なのです。

もちろん、10年後はわかりません。その時に泣いているのは元同僚ではなく自分の方
かもしれません。でも、少なくとも今はたとえようがないほどに自由かつ幸福です。

今の日本には、デフレに苦しむ人々と、デフレを謳歌する人々、いわば2つの世界が
併存しているように見えます。前者は雇用という重力を背負わねばならない終身雇用型組織、
後者はその重力のない実力主義の組織が中心です。

デフレを脱したいなら、後者の世界に飛び込むといい。
たぶん、それが唯一の脱デフレの道でしょう。

以降、
大企業発のデフレが波及していく様子
筆者の考えるデフレの終わらせ方



※詳細はメルマガにて


Q:「ワタミとその社長さんについてどう思いますか?」

→A:『日本人の雇用が第一です』と笑顔で言いつつ、裏ではいらないオッチャンを追い出し部屋に
   がんがん放り込み、新卒採用ゴリゴリ削って海外移転させてる企業が多い中、わざわざ
   『日本人の給料は百万でいい』とか『わが社に無理という文字はない』とか言っちゃう中二病
   的正義心に溢れる経営者に、管理部門は胃がヒリヒリしてると思います。


+雇用ニュースの深層

共同通信トップ、人事部長の女子学生セクハラ問題で辞任

「そんなことしでかす人事部長なんているんだ」と多くの人が疑問に思ったであろう本件の裏には、
組織の古い年功序列的体質が横たわっていた。

政府、有期雇用5年超も可能な規制改革特区を検討

民主党の失点をフォローすることは確かに加点対象ではありますが、トータルでは
ゼロなわけです。しかも特区限定・・・


【お知らせ】柳川先生とのトークライブがアップされました。

先日行われた柳川先生の「日本成長戦略 40歳定年制」出版記念トークライブの様子が出版社さんの好意でアップされたのでお知らせ。興味のある方はご覧ください。



Q&Aも受付中、明日発行予定です。登録はコチラから。

「夜間飛行」での配信もスタートしました。






準正社員という新たな身分

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みずほ総研の会員向け情報誌「Fole」にコメントが掲載されているのでご報告。

テーマは例の準正社員制度について。
厚労省側が、解雇規制緩和に対する切り札として打ち出してきたプランで、地域や
職種をあらかじめ限定した上で正社員として採用するというもの。事業所限定だから
解雇しやすい、準とはいえ正社員だから保険料も天引きしやすいと、厚労省も企業も
winwinの関係になれるという夢のようなシステムらしい。
実際の企業サイドと労働者からみて、本当に準正社員は意義がある制度なのだろうか。

全正社員を期限を切った上で全員“準正社員”に切り替えるというなら、それなりに意味
があるだろう。これから正社員になる人はすべてこの方式に切り替えるというのも、
まあ百歩譲ってアリかもしれない。

ただ、従来通りの正社員コースを温存しつつ、新たに規制の緩やかな雇用形態を作る
というのは、一般職や派遣社員と本質的には何も変わらない。
大企業総合職を頂点とする身分制度に、あらたに中くらいの身分が出来るというだけの話だ。

この点で、ほぼ識者の認識は一致している。

【以下、記事より引用】
日本企業が抱える問題は、生産性の低いホワイトカラーを抱え過ぎていること。
この部分に手を入れられる制度設計が求められているのに、報道ベースで
判断する限りでは、現在の地域限定社員や契約社員などと比べ、それほど
使い勝手のいいものとは思えません。

(みずほ総研政策調査部・岡田主任研究員)

アベノミクスの本丸は、あくまでも規制緩和を柱とする三本目の矢だ。
今の株価が本物か、それとも蜃気楼で終わるのかは、これから実行される
規制緩和の中身次第ということだ。


ここがヘンだよ島耕作!(メルマガ)

先日、Q&Aメールに、以下のようなリクエストをいただいた。

メルマガを楽しく拝見させていただいております。
Q&Aなどこちらでメールということだったので、少し気になったことがあったので
メールをさせていただきました。

というのは、【課長 島耕作】です。ウィキペディアを読んだだけで超不愉快になる
人物です!(架空ですけど)

有名漫画らしく「課長」→なんやかんや→「社長」に変わり、こないだ2連続赤字で
社長辞任をしたらしく、原作者はまだ「皆様の希望に答えて」とかで会長とかに
居座り続けるみたいなんです。(もう老害!)

この漫画が売れてる、シリーズになっている(30年も!?どんだけなのよ、と)と
いうことは、ヤツ(島耕作)は日本企業のサラリーマンの夢というか、モデルに
なっているというか、そんな気がして……
終身雇用も年功序列も崩壊しつつあるのに、何でヤツのようなファンタジーが受けるのか?

あれが、団塊世代の夢なんでしょうか。おええっ。ヤツまだ、脳内バブってますよ。
(ウィキペディアで、「弘兼憲史の変態漫画」と書いてあったけど、ホントその通り!)
Q&Aと言うよりも、リクエストに近いのですが、是非是非、気分が乗ったら、
ヤツ(島耕作)をぶった切ってポア(殺)してください。

ここまで言っておいて、この漫画のファンだったら本当にすみません。
心からお詫びします。突然文句垂れてほんとすみません。
春だからこんなひとも出現するよ、くらいな感じで、勘弁してやってください。



実は、筆者は「島耕作シリーズ」はかなり好きな部類の漫画である。
サラリーマン社会というのをよくわかった上で、時事ネタを巧みに取り込みつつ、
30年間にわたって連載し続けているそれは、まさにサラリーマン版大河ドラマと言っていい。

ただ、物凄い突っ込みどころがあるのも事実で、でもまあ漫画なんだから一々突っ込む
なんて野暮なことはやめようと思い、これまでそういうコメントはしたことがなかった。
みんなキャプつばに夢中になってる時に
「スカイラブハリケーンの時にゴールポストに上るのは反則だぞ」
と言って子供の夢を壊した筆者の中学の時の先生みたいなことはしたくないと考えていた。

でも、良く考えてみたらメルマガ読者はだいたい30歳くらい、少しくらい夢が壊れたって
気にしない大人だろう。というわけで、今回はあえてサラリーマン大河漫画の金字塔
である島耕作シリーズに突っ込みを入れて見たいと思う。

3分でわかる島耕作

未読の人もいると思われるので、最初に簡単にシリーズ概要を説明しておこう。
「課長 島耕作」の連載第一回は1983年で、主人公・島耕作は初芝電機(松下電器がモデル)
の係長をつとめている。大学時代は学生運動にあけくれ、でもきっちり大企業に就職して
以後は忠実な組織人として勤めあげるという典型的団塊世代の一員だ。

人材的には、飛びぬけて優秀というわけではない。取締役以降は優れたマネジメントで
成果を上げていくが、中間管理職時代は平凡などこにでもいるサラリーマンで
「偉くならなくてもマイペースで働ければいいや」というタイプである。
とはいえ「常に会社が第一」が信条で、結果的に中盤以降は仕事人間としてあちこち
飛び回ることになる。

性格は真面目で、不正や下請けイジメ等には反感を抱いているが、じゃあケンカしてでも
そういった行為と決別するかというとそうでもない。「こういうしきたりなんです」と説得されると、
ぶつぶつ言いつつ引き下がってしまう。

なんというか、我々がイメージする団塊世代そのまんまの生き方をしている主人公である。

ただし、この平凡な男には、他の男にはない特殊能力がある。それは「行く先々で女性が
向こうから寄ってきて、しかも彼女らをのきなみ満足させる体力・テクがある」ということだ。
そのお相手には、上司(後に社長昇格)の愛人や、創業者の隠し子まで実に幅広い。
彼や会社が直面する難局に際して、彼女らは影になり日向になって島をサポートしてくれる。

こうして島は、特にこれと言って芸はないけれども、あちこちで女性とエッチしまくることで
自身と会社の運命を切り開き、課長、部長、取締役と出世していくことになる。
新出の女性キャラの顔見ただけで「あーこいつとはいくとこまでいくな」と分かるように
なったら君も立派なしまらーである。

あんなにヤリチンで本当に出世できるのか


結論から言うと、あれくらい手広く遊んでいても、出世は出来る。

以前も書いたように、日本企業は基本的に男女関係には大らかで、二股かけていようが
不倫だろうが、それだけで人事に障るということはまずない。ちなみに作中でも、島と接点
のある経営陣は全員、愛人や隠し子が普通にいる。地方や海外に出張すると、現地の
責任者が普通に現地妻を囲っていて、特に悪びれる様子も無く「私の愛人です」といって
紹介したりする。

これはもちろん、漫画の中だけの話ではない。
人事や総務の人間は社内のお偉いさんの葬儀などで裏方の仕事に駆り出されるものだが
そういう場で「親族ではないけど親しい関係者で、でも絶対に親族と顔を合わさせては
いけない人」というのは珍しくない。

先日も、渡辺淳一の連載が大好きな某新聞社の社長が部下と半同棲状態にあると
報じられたが、その新聞は今日も元気に記事を届けてくれている。

筆者の知人のいた某シンクタンクには昔、〇〇〇〇〇の取締役の愛人が在席していて、
毎週のように社用車で迎えにきていたそうだが、その取締役も今では日本を代表する
社長さんである。※

というわけで、少なくとも「あんなに女好きの男があんなに出世するのはおかしい」という
ロジックは成り立たないというのが筆者の意見だ。

以降、
とはいえ、越えてはいけない一線も何度か越えている島耕作
実は最初からエリートコースだった島耕作のキャリアパス
「島耕作」の最大の矛盾とは
島耕作が支持されたワケ


※詳細はメルマガにて

※〇〇〇〇〇をメルマガ本編で公開するかどうかは編集部と協議予定


Q:「ベンチャー企業で残業をカバーする方法は?」
→A:「少なくとも安定期に入った時点できっちりメンテする必要があります」

+雇用ニュースの深層

日本とフランスで労働市場改革を巡って対照的な動きが見られる。
原因は統治システムにある。社会主義者だろうがなんだろうが、権限と責任を与えられれば
やることやるしかないのだ。

他。


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壊れゆく「新自由主義というフィクション」

数年前、新自由主義という言葉が一時期はやった。
民営化や規制緩和による経済成長、行政改革のことを指すようだが、もともとは
一部の左翼学者が使い始めた言葉だ。郵政民営化に際して、既得権を失うことを
恐れる人達が飛びついて日本でも広まったように思う。

派遣切りの際にも「どこかの誰かが悪いことを企んだ結果に違いない」とばかりに
大手メディアがさかんにこの言葉を使っていた記憶がある。
筆者自身も「彼ら派遣労働者は新自由主義の犠牲者ですよね?」と言われ
「いや、規制緩和してなかったらそもそも彼らの多くは職についてなかっただろうし、
新自由主義だろうが共産主義だろうが不況が来れば仕事は無くなるもんですよ」
と言ったらボツにされたこともある。
さながら、世界平和を脅かす危険思想といった扱いだった。

もちろん、実際はそんな体系的な学問があるわけではなく、単純に後発の新興国
にキャッチアップされた国が、より成熟した社会に脱皮するために、産業構造を
転換し、行政システムを効率化するだけの話で、ヨーロッパなんて何十年も昔から
やっていることだ。

最近メディアで言わなくなったのも、広告費がカットされて早期退職などの
リストラを大手メディア自身がスタートしたからだろう。トップの価値観なんてなんの
影響も無くて、単純に売り上げが減ったら人を減らす、それだけの話だと
理解できたようだ。

とはいえ、ヨーロッパにもやっぱり新自由主義というフィクションで飯を食っている
政治家というのはいて、年々少なくなっていく支持者(多くは高齢者)向けに
「グローバル企業の横暴を許すな」とか「新自由主義反対」といっててら銭を投げて
もらって生きている。

その多くは野党の側で細々と伝統芸能みたいにやっているだけなので問題ない
のだが、たまに、フランス社会党のように、何かの間違いで政権を取ってしまう
こともある。

そういった場合、何が起こるか。
国内に出来るだけ多くの雇用と投資を集めるには、当たり前のことをやるしかない。
企業が人を雇いやすいように解雇規制を緩和し、手厚すぎる社会保障をカット
することだ。ついでにいうとオランド氏は消費税の引き上げもやっているから、
フランス史上、最強の“新自由主義者”と言えるかもしれない。

前の社会党大統領だったミッテランも、大統領就任後に豹変して規制緩和や
社会保障カットといった構造改革を推進してフランスを立て直したが、どうもフランス
という国は、ここ一番で痛みを伴う手術を断行する役回りがなぜか社会主義者に
まわってくる運命らしい。

というわけで、たぶん本人はめちゃくちゃ貧乏くじ引いた気分だろうが、今後も
ガシガシ“新自由主義政策”を推進して頂きたい。フランス社会党の大統領が率先
してそれをやることで、55年体制の夢からいまだ覚めない日本の化石知識人にも
多少は刺激になるだろう。




著作
若者を殺すのは誰か?


7割は課長にさえなれません


世代間格差ってなんだ


たった1%の賃下げが99%を幸せにする


3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代


若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来
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城繁幸
コンサルタント及び執筆。 仕事紹介と日々の雑感。 個別の連絡は以下まで。
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