「派遣法改正は反対だけど同一労働同一賃金には賛成」という民主党の狙いは何か

派遣社員の上限3年ルール撤廃を含む政府の派遣法改正案に反対している民主党が、なぜか維新の作成した“同一労働同一賃金法案”の共同提出に応じるそうだ。わかりやすくいうと「正社員こそ正しい働き方であり、派遣は規制すべきだ。あ、でも正社員と非正規の格差是正は必要だよね」ということになる。

同じ仕事をしている正社員と非正規雇用労働者がいて、給料が2倍も違っていた場合、当たり前だが正社員をある程度引き下げて同じ給与水準に落ち着かせるしかない。維新はそれを理解しているけれども、民主党はそれでいいんだっけ?w

さらに言えば、別に正社員だろうが非正規だろうが同一労働同一賃金が実現すれば、正規雇用だけに固執する理由も無くなるんですが。

というわけで、民主党の奇怪な行動パターンの理由を考察してみた。


1.現状のまま野放図に派遣労働を拡大することには反対だが、同一労働同一賃金という下地を作ることには賛成だという深謀遠慮なスタンス。ゆくゆくは連合と対決することも辞さない不退転の決意。


2.知能が低く、矛盾する政策だと気づかないまま脊髄反射で賛成している。たぶん「世界平和法案」とか「貧乏人救済法案」とか出してもパクッと食いつく。議員バッジをつけたニワトリ。

3.ぶっちゃけ政権取った後のことなんてどうでもよくて、響きの良さだけで態度を決めている。とりあえず派遣反対とか格差是正とか言っとけば愚民どもは喜ぶであろうというマキャベリ的思考。いわゆる政局至上主義。

ちなみに、民主党は政権担当時に派遣規制を強化した結果、ぜんぜん正社員なんて増えずにより不安定なパートが増えただけだったという失政をやらかしている。厚労省の労働政策審議会の委員の一人に「(規制強化で正社員を増やすというのは)机上の空論だった」とまで言われるほどだ。

いくらバカでも、数年前の苦い経験は覚えているはず。ということで、正解は3番であり、民主党はもう万年野党としてイチャモンつけに専念して生きていくことに決めたんじゃないかというのが筆者の見方だ。




キャリアデザインの一環としてのAV女優

今週のメルマガの前半部の紹介です。先日、なんと日経の記者がAVに出演していたとの記事を週刊文春がスッパ抜き、大きな話題となりました。それも、単体作品で10本(一説にはトータルで70本!)というのだから、それなりに有名な売れっ子女優と言っていいでしょう(文春報道時点で既に退職済み)。

もし、同じように、違法ではないけれども会社的にはあまり歓迎したくない経歴のある人間が社員になっていると判明した場合、会社はどういうアクションをとるのでしょうか。そして、幅広い経歴から垣間見える本人のキャリアデザインとは。

今回は企業と性の問題について思い切って切り込んでいきたいと思います。

AV!東大!日経!

最初、筆者は「日経記者が実は元AV女優だったことがバレて辞めさせられたらしい」という話を聞いて、よくある話と聞き流しました。実際、過去に風俗等の水商売勤務が発覚して処分対象となるケースはたまに耳にします。過去の犯罪歴なんかも同じですね。

というか、渡辺淳一先生の一連の作品を連載していたんだからそれくらい別にいいじゃんというのが正直な感想ですね。筆者も社内の知り合いに聞いたら「記者としてはそこらの男子よりよほど優秀で、コミュニケーション能力も高かった」そうなので、目くじら立てるほどのことでもないような気もします。きっと渡辺先生も草葉の陰で泣いておられるに違いありません。

ただ、実は慶応経由で東大の修士卒であるとかいった話を聞くうち、これはこれで優れたキャリアデザインの一環なのではないかと考えるようになりました。筆者がそう考えるようになった理由は以下の3点です。

1. そもそもAVは儲かる仕事ではない

ネットを通じたコンテンツの違法アップロードの被害をもっとも受けているのがAV業界だという点で、異論のある人は少ないでしょう。それくらい、アダルトコンテンツはネット上に無料でごろごろ転がっています。

結果、女優のギャラも90年代より桁一つ下がって、今では単体女優で数十万円、企画ものに複数人で出演する場合、一人数万円程度に過ぎないと言います。要するに「お金欲しさに体で稼ぐ」というAV女優像はノスタルジックな昭和のフィクションであり、そこにはまったく別の、そして多様な事情があるということです。

2.慶応SFC→東大大学院というエリート芸人養成コース

もう一つ、筆者がピンと来たのは、慶応SFCから東大大学院に学歴ロンダリングしていることです。終身雇用ベースの日本では、下手に文系大学院に行こうものなら社会不適格者のレッテルを貼られかねないリスクがあります。以前、文科省が博士課程を量産した時、何の売りがあるのかよくわからない20代後半の博士号取得者が日本中にあふれ、結果的にコンビニバイトやすきやのワンオペに落ち着いていったという経緯もあります。

まあそんな経緯を間近で見ているから、普通は文系で院なんて行きませんね。でも、東大の院だけは別です。今でも日本中から、熱意のある若者が集っていて凄い熱気です。何の熱意かって?「最終学歴を東大で上書きする」という熱意です。

学部はよその私大でも、何やってたかよくわからない文系でも、良くも悪くも東大の大学院はそれなりに評価されます。くわえて、将来は自分の名前を広く売る仕事に就こうと思っている人にとっては、正々堂々と「東大修士課程修了」と名乗れるわけですから、とても魅力的なわけです。というわけで、東大の院には、政治家とか作家の卵的な人が割といますね。

もちろん、ちゃんと真面目に勉強するためにやってきた人もいます。でも、そういう人はたいていそのままアカデミズムの世界に残るものです。民間一流企業に就職し、後述するように著作まで出しているという事実からは、恐らく最初からハクを付けることが目的だったのでしょう。実際、いくつかのメディアは本人のことを「東大院卒」と華々しく報じているわけで、彼女の破壊力は3割くらい増しになっているはずです。

3.「日経」という肩書への執着心の無さ

仮に本人の動機が安定や収入にあるのであれば、就職と同時に過去ときれいさっぱり縁を切り、メイクや髪型を一新して、栄えある日経新聞社の一員として新たな人生を歩みだしたはず。実際、お水で働いていた女子学生の99.9%はそういう風にシフトチェンジします。

でも、彼女は2013年に「AV女優の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか」というきわどいタイトルの本を出版しています。普通、完全に足を洗った過去に関係する話なんてわざわざ本に書くでしょうか?もし同僚に「あの人ってこの女優さんに似てない?」的な疑惑を抱く人がいたら、有力な物証を投げ与えるようなもんでしょう。

恐らく、本人はある段階から、いずれ著作などを通じ直接社会に情報発信するポジションに行こうと決意したはず。それがAV前か後かはわかりませんが、東大大学院や日経というキーワードは、その発信力を強めるための“飾り”でしょう。はっきりいって、恐るべきキャリアデザイン力だと思います。

前回のストーリー的な観点から言えば、本人の経歴には「慶応から社会学系の東大大学院に進学、フィールドワークも兼ねてAV出演、日経新聞記者となるも、そちらの執筆活動を優先するために独立」という見事なストーリーが出来ているのがわかりますね。



水際作戦に失敗した日経の事後処置を検証する
企業に意外に多いお水出身者
つぶしのきかないスキルを黄金の職歴に変えるテクニック



※詳細はメルマガにて(ビジスパ夜間飛行BLOGOS







Q:「外資ですがトップが一年くらいで次々交代してしまいます……」

→A:「労働市場が硬直しているのは一般従業員だけではありません」



Q:「他部門のサポートまで指示されててんてこまいです」

→A:「付加価値の低い仕事をいかに切り捨てるかも、とても重要なキャリアデザインです」







雇用ニュースの深層


有給消化率や女性登用率の義務付けで日本企業は電気羊の夢を見るか


当たり前ですが、有給消化率や女性幹部比率というものは社会体質の一つの指標に過ぎず、指標を法でこねくりまわしたところで体質がかわるわけではありません。ちょっと前の社外取締役ブームがいい例でしょう。



東大文系の評価急落の意味するもの

一つのロールモデルが終焉を迎える中、新たなモデルを提供できない大学は凋落せざるをえません。次世代のエリートたちはどこを目指すのでしょうか。そして、既に社会人となった人間が意識しておくべき点とは。






Q&Aも受付中、登録は以下から。
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「日経プラス10」出演のお知らせ

本日14日22時~のBSジャパン「日経プラス10」に出演予定なのでご報告。


テーマは「“脱・年功序列”は日本企業に根付くのか!?~総理が目指す「年功序列見直し」日本経済への影響は?」とのこと。


文藝春秋11月号




文藝春秋11月号、特集「朝日問題」に「格差社会のダブルスタンダード」を寄稿しているのでご報告。

政府の掲げる労働市場改革に常に反対の論陣を張っていた同社が、身をもって終身雇用の醜悪な内幕をさらけだしたことは、何とも皮肉な話だろう。


さて、本特集は20人以上の論者がそれぞれの立場から見た朝日問題を論じているのだが、中には「?」な人もいて、その代表格はTPP芸人の中野剛志センセイだ。曰く「朝日新聞は日本を破壊するため、グローバル化や構造改革を支持した」だそう(なぜか誤報の誤の字も出てこない)。

エスタブリッシュが揺らぐと、隙間からゾロゾロ頭のおかしいのが湧いてくるものだ。ネットならともかく、こういうのが表舞台に出てくるようになると危ない。朝日ははやく検証&謝罪して、とっとと平常モードに戻った方がいい。





本日TOKYO FM「Time Line」出演のお知らせ

本日19時~のTOKYO FM「Time Line」に出演予定なのでお知らせ。

テーマは「相次ぐ年功序列の廃止がもたらす社員の流動化」だ。

ソニーでもパナソニックでもなく、巨艦日立が年功序列を見直すという現実が、一つの時代の終焉を象徴しているように思う。










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著作
「10年後失業」に備えるためにいま読んでおきたい話


それゆけ!連合ユニオンズ[上]


若者を殺すのは誰か?


7割は課長にさえなれません


世代間格差ってなんだ


たった1%の賃下げが99%を幸せにする


3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代


若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来
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城繁幸
コンサルタント及び執筆。 仕事紹介と日々の雑感。 個別の連絡は以下まで。
castleoffortune@gmail.com
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