火事場で賃金制度見直しをするマクドナルドの勝算

今週のメルマガの前半部の紹介です。業績の低迷が続く日本マクドナルドですが、突然、賃金見直しを進めるとのリリースを出し話題となっています。複数の社内等級の賃金を引き下げるとのことで、業績低迷にともなう賃下げの一環だという報道もあります。

ただ、人事に携わる人間なら「おや?」と思ったはず。というのも、業績低迷時に一般従業員の基本給にメスを入れるというのは、実に終身雇用的な発想だからです。

終身雇用型組織の場合、トップはもちろん一般従業員も同じ運命共同体のメンバーですから、業績悪化時にはバシバシ賃下げされることになります。「俺は悪くない、悪いのは経営陣だ」と不満に思う人も多いですが、会社に下駄を預けた以上はしょうがないですね。

一方、同じ日本でも、職務給型で流動性の高い業種では話は別です。たとえばコンビニのバイトは性、年齢、学歴関係無しに「レジを打ち、商品を並べる」という職務に対して時給が支払われる職務給ですが、ampmが「今期はちょっときついから時給下げさせてね」なんて言うことはなく、ちゃんと同じ地域にある業界首位のセブンイレブンと同じ時給を払っています。仮に時給下げたりなんかしたら皆辞めちゃいますからね。

いつも言っているように、本来、流動性こそ労働者にとって最大の武器です。経済のパイ全体がどんどん拡大し続けた時代なら流動性という名の武器を使う必要は少なかったでしょうが、これからの時代、優秀な人材は積極的にそれを使っていくべきでしょう。出来る人間がダメな組織に付き合う理由なんてないですからね。

さて、そう考えると、マクドナルドの狙いは全く別のところにあるとみていいでしょう。それは恐らく、固定費を減らすという守りの一手ではなく、米国本社型に近い賃金制度に切り替えることで組織内の新陳代謝を促し、競争力を高めようとする攻めの一手だというのが筆者の見方です。そういう点では日経の記事の方が本質を突いていると考えます。



以降、
これからマックで起こること
マックはなぜダメになったのか
筆者がマックの迷走が続くと予想するワケ




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Q:「ゆとり新人が手にあまるのですが……」
→A:「そのうち社会は彼らがマジョリティになるのでお客様目線で分かり合いましょう」



Q:「彼女の年収が2倍近いんですけど、幸せになれますかね?」
→A:「『あたしにバイトさせるくらいなら腎臓売れ』っていう嫁よりは幸せになれるはずです」







雇用ニュースの深層

日本はデフレではなかった?

仮に日本がデフレではなかったとすれば、壊れたスピードメーターを見ながら必死にアクセルをふかしているという恐ろしい事態が想像できます。



2014年度の賃金は前年割れだった?

むしろ、企業の人件費コストは増加傾向にあり、減っているのは手取りだというのが筆者の意見です。社会保障制度やら何やらをなんとかしないかぎり、残念ながら今後も手取りが増えることはないでしょう。






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IBMのために裁判で負けないリストラ法を考える

今週のメルマガの前半部の紹介です。赤旗は近年、大企業攻撃を目的として、NECやIBMといった大企業のリストラ内幕を積極的に取材していて、その生々しさから人気コンテンツとなっています。

でも、数十か月分の割増退職金+再就職斡旋などのいたれりつくせりのサービス付きで管理職が遠まわしに肩たたきする絶望的な“ぬるさ”に、むしろネットでは大企業批判より「うちの中小企業なんて鶴の一声でクビだぞ」「なんでこんなダブルスタンダードが許されるんだ」的な疑問の声が噴出中で、赤旗の意図とは逆に、終身雇用の矛盾に気づく人が増えているようにも見えますね。

さて、そんな愛すべき赤旗によると、またIBMがパワープレーでリストラを展開中のようです。

これがIBMの退職強要/JMIU支部公開の録音データ

ぱっと読んだだけで相当雑で、やってはいけないタブーをいくつも犯しているのがわかります。これは裁判になったらきついだろうなというのが正直なところですね。

というわけで、今回は筆者が、裁判になっても会社が負けないリストラ方法を立案しておきましょう。経営者や人事部の方はもちろん、65歳まで石にかじりついてでも会社に残りたい従業員の皆さんにとっても、相手の攻め口がわかれば守りやすいというものです。

リストラには2種類ある

従業員に辞めてもらう意味でのリストラには2種類あり、筆者はそれぞれ「見えるリストラ」「見えないリストラ」と呼んでいます。まず、見えるリストラとは何かというと、会社が辞めてほしい人を選んで「おまえはクビだ」と解雇するもので、誰が見ても「ああ、リストラやってるな」とはっきりわかるリストラです。

会社が対象者を好きに選べて単刀直入にクビに出来るわけですから、とてもシンプルですね。でもシンプルなぶん、これを実施するにはとてもとても厳しい条件が課せられます。

解雇の必要性があるか、解雇を回避するために出来るだけの努力をしたか、対象者は公平に選んだか、手続きはクリアだったか、という、いわゆる整理解雇の四要件を満たしているか厳しくチェックされることになります。

要するに、土俵際に片足のっかるくらいの状態にならないと、この“見えるリストラ”はまず使えないわけです。たとえば新卒採用を続けているとまず認められません。「切るのは50代の無気力なオジサンで、将来性のある新人は新規事業に必要なんです」というロジックは司法には通じません。あと、非正規雇用が残っていても認められない可能性が高いです。「正社員を切る前に非正規雇用を全員切れ」という身分制度みたいな判断を、冗談抜きで彼らはしているためです。

そして、何より恐ろしいのは、こういう整理解雇が認められるかは、実際に裁判になってみないと誰にも分らないという点ですね。具体例で言うと、今のシャープでも結構きついんじゃないでしょうか。JALなんていっぺん会社がつぶれてるのにいまだに解雇した元従業員から訴えられてて、しかもそれを(05年に職員を整理解雇して訴えられ、最高裁まで争った)社民党が支援するというワケのわからないアングルになっちゃってます。

たぶん、黒字事業部がすべてなくなり、新人も数年前から採用してなくて非正規も全員雇い止めにして、あとキャッシュもほとんどなくなった段階で、確実にGoサインが出せるのではないでしょうか。そんな段階でリストラ始めたってもう手遅れだと思うので、筆者なら意欲のある人材には早めに転職することをおススメしますけどね。

よく労働弁護士や法学者の中には「日本もきちんと手続きを踏めばリストラは十分可能だ」とおっしゃる人がいますが、その十分可能なリストラっていうのは、外堀も二の丸も全部落ちて本丸に攻め込まれた最後に、もうほとんどヤケクソになって自爆スイッチ押すようなもんだというのは覚えておいてください。

さて、そういう観点から見ると、IBMのリストラは非常に問題があるというのが明らかです。同社の2014年損益をみると、売上8810億円で経常利益947億円。新卒採用もコンスタントに300名以上を採用し続けています。「見えるリストラ」が認められる余地は限りなくゼロに近いと言えるでしょう。そりゃ赤旗にも目を付けられますね。

というわけで、今後も赤旗が鬼の首でもとったようにIBMリストラ内幕をさらす→「やっぱ大企業は恵まれてるなぁ、入るなら大企業だ」とむしろIBMの好感度アップ → ボリュームゾーンである中小零細企業や非正規雇用労働者の問題は放置、という不毛なサイクルが継続すると思われます。



以降、
IBMはなぜ地雷原に突撃をかますのか
大手日本企業で行われる「見えないリストラ」とは
人事コンサル作成“リストラマニュアル”から個人の防御法を考える




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Q:「先日の古賀さんの暴走をどう思われますか?」
→A:「なんだかご本人も病んでる気がしますね……」



Q:「4月1日から新人として出社してますが既に心が折れそうです……」
→A:「筆者は4月に『サラリーマン最高です!』と言ってる新人を見たことありません」







ショートショート「もし国会議員秘書に残業代100%支給したら」






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未払い残業代を後からみんなで請求したらどうなるか

面白い記事を見つけたので紹介。

「サービス残業肯定論」は1ミリも通用しない 不払い分は退職後でもきっちり請求しよう

ふむふむ、なるほど、法律家ってこういうロジックで考えてるのか。筆者自身も“精神論”は大嫌いなので内容にそんなに異論はないのだが、現実が彼らのロジック通りに動くとは限らない。良い機会なので、ビジネスの現場がどういう風に動くかについてまとめておこう。

1.退職者の請求した残業代を払うのは残った従業員たち

ちょうどタイミングよく維新の足立衆院議員が問題提起してくれているので、このケースに乗っかって説明しよう。

まあ中にはオーナー経営者ががっつりため込んで従業員は全員サビ残でへとへとというケースもあるのかもしれないが、普通の企業では、事業環境で既に人件費として用意できる総額が決まっている。議員でいうと、国からいくら支給されて献金がいくらあって、その中で政策研究や政治活動にいくら使って、最終的に秘書やスタッフ達に支払える人件費は限られる。国に「もっとちょうだい」とも、業者に「ちょっとまけてくれ」とも言えない。

だから、後から退職者に「あと〇百万円払ってね」と言われたら、残りの人件費から払うしかない。たぶん他の私設秘書さんやスタッフのボーナスやら基本給やらをカットして帳尻を合わせるんだろう。だから、この手の訴訟を労組は支援するどころか、すごく嫌な顔をする。彼らは元組合員が勝利した場合、自分たちの取り分が減るとわかっているからだ。

これは特殊なことでも何でもなく、以前から口を酸っぱくして言っているように、チンタラ残業しているダメ社員の残業代はみんなの財布から出ているのと同じこと。在職時に払うか、辞めた後で一括請求するかの違いでしかない。

というわけで、元同僚が未払い残業代を請求してきたら、みんなも頑張って払ってね♪


2.結果的に、みんなの基本給は下がり、残業しないと生きていけなくなる

仮に今回の残業代請求が認められ、かつ「国会議員でサービス残業なんてけしからん!」的な世論が盛り上がってしまうと、議員センセイたちは何らかの対策をとるしかない。そして、議員秘書なんていう「かならずしも時間と成果が比例するわけでもない仕事」で残業やったらやった分だけばっちり手当を支払う方法は一つしかない。それはだいたい平均でこれくらい残業やってるな、という時間を計算し、その残業代コスト分をあらかじめ引いた金額に給与水準を引き下げることだ。

要するに、これまで月50万円貰って月50時間サービス残業していた人に、月30万円の基本給と月20万円の残業代を払うという話。

同じじゃん、という人はよく考えてみよう。以前なら別に早く仕事が終わった月は早く帰っても50万円もらえたものが、これからは早く帰ると損をすることになる。ついでに言うと、月100時間残業知るのが趣味という残業バカは一気に手取りが増えるが、その増えた分は、効率よく定時に終わらせていた人からのプレゼントだ。恐らく、後者もこれからは効率なんて度外視して、一生懸命残業に精を出すはず。「残業代は長時間残業を抑制する」のではなく、「残業代こそが長時間残業を助長する」わけだ。

クレサラ問題がだいぶ片付いたため、この未払い残業代問題は、弁護士センセイ方の新たな金脈として熱い視線を集めている。たぶんこれからこうした退職者による未払い残業代問題は中小企業でも頻発し、ザルだった労務管理を(上記のようなアプローチで)きっちりメンテする企業が増えるだろう。というわけで、運良く(運悪く?)自分の会社がそうなっちゃいましたという人は、もう家族サービスとか趣味とか全部忘れていいから、頑張って残業道をきわめてくださいね♪


3.未払い残業代を勝ち取ったとしても、必ずしも幸せにはなれない

さて、まとまった金は手に入るし、元の会社にはギャフンと言わせてやれるし、元同僚なんて知ったこっちゃないしで、未払い残業代請求というのは、退職者にとっては夢のようなプランに映るかもしれない。でも、個人的にはおススメはしない。なぜか?それは一言でいうなら企業側との決定的な信頼関係の毀損であり、そういうことをしてしまうと今後のキャリアに重大な悪影響が及ぶからだ。

もちろん、中には、強欲なオーナーが何年にもわたって社員をタダ働きさせているようなケースもあるのかもしれないし、そういう場合はもちろん訴えてしかるべきだ(筆者は見たことないけど)。

ただ、それなりの期間、サービス残業を継続したということは、そこには(経営的に余裕がない、あるいは「この仕事は成果が時間に比例しないからしょうがない」といった)一種の信頼関係が存在したわけで、後から「やっぱりさかのぼって全部払ってね」というのは背後から不意打ちかますようなものだろう。筆者の感覚でいうと、採用担当者の99%はそういう人を採ることにリスクを感じるはずだ。

「前職とのもめ事なんてわからないだろう」と思う人もいるだろうが、同じ業界であれば何らかの話は伝わるものだし、今でも企業によっては応募者の情報を前職にコンタクトして確認するところもある。たとえば今回の議員秘書殿を雇用したいという議員さんは与野党問わずいないだろう。何年の秘書キャリアがあるのか知らないが、それをチャラにしたわけだ。

もちろん、労基法や判例を100%守ってると自信をもって言い切れるような会社なら「まあひどい!サービス残業なんて都市伝説かと思ってましたよ」と行って快く採用してくれることだろう。でも筆者はそういう会社は見たことも聞いたこともない。

偉い弁護士センセイがおっしゃるんだから、きっと法的には正しいんだろう。やりたければいくらでも会社を訴えるといい。でもその結果、元同僚の手取りは減って、長時間残業は慢性化して、自分の再就職の選択肢は狭まるという事実だけは覚えておいた方がいい。儲かるのは弁護士のセンセイだけである。



※本気で長時間残業や過労死を減らしたかったら、時給管理を外しつつ残業時間に上限を付ければ済む話。「長時間残業や過労死をなくせ」と普段声高に主張している一部の労働弁護士のセンセイ方が、どう考えてもムリのあるホワイトカラーの時給管理になぜに固執しているのか、筆者は理解に苦しむ。









就活解禁になっても何やっていいのかわからない時に読む話

今週のメルマガの前半部の紹介です。3月になって、いよいよ就職活動が解禁となりました。いわゆる就活後ろ倒しというもので、今年から3月:セミナー等のコンタクト解禁→8月:選考開始で内定もOKという短いスパンでの就活がスタートします。

これといった縛りの無かった従来なら、3年の秋くらいからあちこち企業説明会に顔を出すなりOB訪問するなりして4年の秋口くらいまでのんびりやれたものを、3月接触開始8月以降内定と5か月の間にぎゅっと濃縮するわけですから、確かに採る方も採られる方も結構キツキツですね。合間にインターンまでやらないといけないわけですから、死にかけてる人事担当の知り合いも結構います。

本来なら、なにかしら将来像なりキャリアビジョンなりある人が進学して、そのための素養を磨くのが高等教育機関なわけで、磨いてきたものを使って普通に就活すればいいだけのこと。今さらあたふたする必要などないはずです。でも、筆者も野暮なことは言いません。恐らく過半数の人は「いきなりやれって言われても右も左もわからないし、全部の業界見て回ってる時間なんてない!」状態のはず。

そこで今回は、この3月まで放置プレイで突然スターティングゲート前に並んでしまった人が「入学直後から明確にビジョンを持ってそのために時間も金も割り振ってきたサラブレッド」に今から太刀打ちできるような就活プロセスをまとめたいと思います。

「育成のプロセス」を知れば、やるべきことは見えてくる

世界には、2種類の就職があります。一つは、ある特定の職に対して雇用契約を結ぶもので、当然、応募者はその職務がこなせるだけのスキルなり職歴があるかどうかで判断されます。こちらが世界標準で、日本でも非正規雇用や現場系の職人さんはだいたいこちらですね。

一方、その会社の正社員という身分に応募するという雇用契約もあります。こちらは組織の一員として言われた勤務地で言われた仕事を徹夜でも何でもしてこなすことが要求されます。なので、何か特定のスキルというよりも、組織のために粉骨砕身がんばれるかどうかが重視される傾向があります。戦後の長い間、日本企業の多くはこちらの採用スタイルでした。

たとえば90年代前半までは、六大学以上の体育会系だったらたとえ成績が落第寸前でも「はい!なんでもやります」と元気よく答えておくだけで、たいていの上場企業には内定がもらえたものです。筆者の先輩にボート部で3留して面接で「はい!わかりました!」しか言わなかった人がいましたけど、普通に商社受かってましたね。たぶん地頭的に悪くないにもかかわらず7年間なんの疑問も抱かずにボート漕いでたMっ気が入社後も大いに役立つと評価されたんでしょう。

とはいえ、いまどきそんなノリで内定がもらえる会社はほとんどないでしょう。応募者はエントリーシートや面接で繰り返し自らのキャリアデザインとそのためにしてきた自己投資を述べねばなりません。そう、日本社会全体が緩やかに、何でもやる根性重視の身分制度型から、特定の職種に絞ったスペシャリスト型に移行しつつあるわけです。いわゆる「意識が高い人たち」というのはそういう波になんとか乗ろうとしている人たちなわけです。

では、3月時点で、そうした波にぜんぜん乗れてないよという人たちはもう手遅れなんでしょうか?「いやあ、今までバイトとゲームとサークルしかやってこなくて、いきなり就活やれって言われて困ってるんです」という人は、トロール網よろしく100社以上エントリーしまくってなんとか引っかかってくれた会社に「何でもやります、いや、やらせてください」と頭を下げるしかないんでしょうか?

いえいえ、勝負はこれからです。先に、社会は緩やかに脱・身分制度型に舵を切っていると書きましたが、現場レベルではまだまだ変化に追いついておらず、実際は90年代とほとんど変わらない人材育成方式だったりする企業が珍しくありません。その育成プロセスを理解すれば、打つべき手は見えてくるはず。

従来型の育成スタイルでは、本人のなんとなくレベルの配属希望と人事部の判断を組み合わせてとりあえず大まかな配属を行います。なので、最初の3年間は割と流動的で、本人がどうしても納得しない、あるいは使ってみたけど適性が無いと事業部側で判断したような場合は異動、つまり実質的な再配属なんてこともありますね。

その後は、職場内で上から仕事を与えて少しずつ育成、30歳までに、組織の必要とするスキルを持った企業戦士に育て上げることになります。と書くと当たり前の話にも見えますが、実は、この過程ではもう一つ、スキル以外にも重要なモノを育て上げています。

それは“動機”です。自分は今のこの仕事で飯を食っていくんだというプロフェショナルとしての動機。それから、自分は今の業務にもっと習熟して上を目指したいという上昇の動機、あるいはその経験を活かして組織全体や社会を変えていきたいという改革者の動機。そうしたアグレッシブで前向きな動機は、新人の頃にはまったく見られなかったもの。それを最初の数年間で芽吹かせることが、日本型OJTのもう一つの狙いだったりします。

つきつめれば、職を重視するスペシャリスト型採用も何でもやる身分制度型採用も、目指すゴールは同じと言えるでしょう。「〇〇の仕事で頑張りたい」というコアな動機を入社前に持っているか、入社後にある程度幅広く経験させつつ、本人の適性と会社の都合を上手くすり合わせて与えるかの違いですね。

となれば、やるべきことはただ一つ。入社後数年かけて経験するであろう仕事の幅、それらの達成感、あるいは挫折感などを、これからの5か月で可能な限り先取りして吸収し、動機のひな形くらいは自分の中に作っておくことです。

もちろん、企業の形成する母集団に登録することも重要ですが、筆者なら合わせてOB訪問を重点的に行います。数は多くないですが、4年生向けのインターンも春、夏に行われているので、そういう機会を利用することも検討します。それらをうまく組み合わせることで、スキルと動機をまさに育てつつある先人たちの“息吹き”を自身も感じることが出来るは ず。

ここで重要なのは、あくまでも現場で働く人たちの生の声が必要だという点です。日本企業のインターンシップには、半日~数日レベル、それも研修施設などを使った“お客様インターン”が多くみられます。そういうのは何十回行っても、自己啓発本読んで「あ~なんかオレ成長したような気がするな」程度の満足感にしかなりません。

また、OB訪問も、企業側が組織して送り込んでくるリルクーターよりも、顔見知りの先輩や、キャリアセンターにある卒業生名簿などを使って自分でコンタクトをとったOBの方が価値があります。というのも、向こうからやってくるリクルーターは人事部がコミットしていて、テキパキこなれた対応はしてくれても、必ずしも本人の生の声を聞かせてくれるとは限らないからです(そういうのを後輩のために話してくれるリクルーターもいるので一概に否定はできませんが)。

まとめると、インターンでもOB訪問でも、とにかく実際に現場で働く人の空気を吸ってこいということですね。



以降、
100敗する奴には100敗する理由がある
OB訪問を有意義なものにするため聞くべき質問
筆者なら3月スタート直後はこう動く
就活サラブレッドの弱点




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Q:「本一冊ってどれくらいの時間で書けるもんでしょうか?」
→A:「半日しゃべるだけで一冊作る人もいますが、筆者はだいたい数か月です」



Q:「先日、女子プロレスラーが相手を半殺しにした件についてどう思いますか?」
→A:「前田日明の長州顔面蹴撃事件を思い出しました」






雇用ニュースの深層


女性議員の割合、日本は先進国で最低水準

女性の国会議員には弁護士や税理士といった士業が多いんですが、要は大企業が幹部候補としては採らないからですね。



シャープの3千人リストラが意味するもの

今回の同社のリストラは、通常のものとは違い、いくつか“タブー”を犯しています。


他。






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電波芸人的キャリア戦略を割と真面目に考察する

今週のメルマガの前半部の紹介です。先日、古賀茂明氏が報道ステーションを降板すると報じられ、大きな話題となりました。古賀さんといえば元経産省のエリート官僚で、退職後は大阪市の顧問を務めつつ、報ステなど各種メディアで積極的に情報発信していた人です。分かりやすく論理的な解説で、ポスト池上さんの呼び声もあったほど。いわゆる“脱藩官僚”の花形的存在だった人ですね。

その氏が、地上波ニュースでもっとも影響力が大きいと言われる報道ステーションを降板させられた理由とはいったい何でしょうか?調子に乗って「アイアム ノット アベ」と言って番組に味噌をつけてしまったことが原因でしょうか?確かにそれも一因でしょうが、その背景にはもっとホットで生々しい事情があるというのが筆者の見方です。

テレビや新聞と言った大手メディアに露出すれば、軽く数百万人に名前が売れることになります。それも、一日中PCに張り付いてる社畜やニートではなく、お茶の間でくつろいでいる専業主婦や高齢者といった時間的にも金銭的にも余裕のある層に認識されることになります。はっきりいってwebサイトで何十万pvなんて目じゃないほどのインパクトですね。もちろん知名度が上がるということは、それだけマネタイズもたやすいということです。

普段皆さんが目にしているメディアの裏舞台では、電波の上で生きていくことに血道を上げる電波芸人たちが、華やかなスポットライトの当たる場所を巡って、終わりの無い壮大な戦いを繰り広げているのです。まさに大河ドラマと言ってもいいでしょう。

そういうドラマの力関係を理解すれば、なぜ古賀氏は台頭し、急速に左旋回し、降板させられたのか、意外な構図が見えてくるはずです。もちろん、普段のニュースやワイドショーもより面白く楽しめるようになるでしょう。

電波芸人勢力図

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まず、現在、テレビや新聞と言った大手メディアの舞台でコメンテーターやら何やらとして活躍しているメジャークラスの方々を分類してみましょう。専門性と大衆迎合度という軸を設定すると、彼らは大きく分けて4種類に分類できます。ここでいう専門性とは、経済系の出版社から単著を出したり専門誌に寄稿するくらいのニーズがある人、大衆迎合度というのはポピュリスト的言説のようなものです。

1.これといって芸がない一方、大衆迎合度が高いゾーン

ここは一番の花形スポットであるとともに、一番の激戦区でもあります。誰でもふらっと入ってこられるんだから当然ですよね。ワイドショーやバラエティなのでおなじみの面々が顔をそろえます。

同時に、このゾーンは大衆迎合度の高いゾーンでもあります。「政府の借金は国民の資産」とかなぜか企業や個人の資産までぶっこんだ謎の「日本国のバランスシート」提唱で有名な三橋貴明や、「すべての問題は日銀に通ず」で女性問題評論家から一躍(リフレ派の)経済評論家に躍り出た勝間女史など、視聴者読者の皆さんは痛い思いをしなくてももっと豊かになれますよ的なコメントが売りの方々揃いです。宮崎哲弥、勝谷誠彦なんかもちゃっかりリフレ論に便乗してたりします。

なぜ彼らは大衆迎合的なんでしょうか。それは彼らには特にこれといった芸がないからです。宮崎哲弥とか勝谷誠彦に「高齢者向け社会保障をカットしろ」とか「痛みを伴う改革をとっとと推進しろ」とか言われたら誰だって「あんたに言われたかないよ」と思うでしょう。まして平日昼間にテレビの前に座っている視聴者にウケようと思ったら、そんなこと口が裂けても言えません。というわけで、こうした人々がメディアで食っていこうと思ったら、必然的に大衆迎合的にならざるをえないわけです。

最近のネット上ではバラマキ派とリフレ派が険悪なんですが、マーケティング対象がかぶっていると考えるとわかりやすいですね。

2.専門性を持ちつつ大衆迎合度も高いゾーン

一方、一定の専門性を持ちつつ、それを隠して大衆迎合的な意見に終始し、時にまったく本音とは真逆のことさえ平然と言ってのけるステキな方々もいます。政府の原子力委員会とワイドショーで180度真逆のことを平然と言ってのける武田邦彦、記者に「今日はなんて言えばいいの?」と聞くなど、業界初のオーダーメイドコメントシステムを確立した森永卓郎などが代表です。

よく「モリタクはただのアホだ」という人がいますが、筆者は非常に頭がいい人だと見ていますね。三和総研時代に「仕事出来る奴と出来ない奴が同じ給料なのはおかしい」といってゴリゴリの事業部別業績連動性を導入させた実績のある彼が、本気で社会主義の理念を抱いているとは到底思えないですし、まして“内部留保”が分配可能だなんて露ほども考えちゃいないでしょう。

彼らは別に悪気があって言ってるわけではなく「愚民が見たい夢を見せてやっているだけだ」くらいのスタンスだというのが筆者の見方ですね。

3.専門性はあるが大衆に興味が無いゾーン

それぞれ軸足となる専門性はあるけれども、別にそれでメディアに露出したいとか、まして大衆を喜ばせたいなんてことは毛ほども思っちゃいないグループです。というか、ごく一般的な大学の先生や研究者はここに該当するはずです(正確に言うとこのゾーンは“芸人”ではないですが)。

こういう人たちの中には「一般向けのメディアに露出するとむしろ専門ムラでの評価に障る」と考えている向きが少なからずあり、表舞台に出たがらない人も少なくないですね(筆者は、それはそれで問題だと思いますが)。

本来であれば、このゾーンから適時状況に応じて人材を呼んでしゃべらせれば、1番や2番の人材の出る幕なんてないわけですが、日本のメディアはなぜかこのゾーンの人材をあまり使いたがりません。

4.専門性はないけれども大衆迎合もしないゾーン

最後に、これといった専門性はないけれども大衆迎合的な芸も披露しないストイックな路線の人も少数ですが存在します。というか、筆者の知る限りそれはただ一人、池上彰だけです。見る人を圧倒する知識や経験があるわけでもないのに上からびしっと正論を吐けるのは、ひとえに氏の話術と存在感のたまものですね。これは真似しようとして出来るもんではないです。

とりあえず話は上手いけれども胡散臭いヤツや、ストイックな研究者だけど一般人にはチンプンカンプンな宇宙人タイプが居並ぶ中、バランスの取れた正論を一般人に通る言葉で話せる人材は池上さんくらいです。だから今のところ、池上さんの置き換えがきく人は見当たらないし、当面出てはこないでしょう。

さて、降板させられるまでの古賀茂明氏はどのゾーンに属していたのでしょうか?意外に思われるかもしれませんが、産業政策をぶいぶい言わせていた高度成長期ならいざ知らず、現在の経産省というのはすごくニッチな分野で政策通ではあっても(少なくとも一般視聴者に響くほどマスなレベルでは)幅広い専門性があるとは言い難いです。

実際、氏は震災後にメディア露出を増やす前に即席でエネルギー行政の知識を吸収し、滑り込み的にコメンテーターの椅子に座ったことからも、1番か4番ゾーンの人だというのは明らかでしょう。


【参照】古賀茂明氏がテレビから追放されたのは当たり前の話
では彼はいかにして詳しくもない原発問題について語るようになったかというと、東日本大震災が起きるとその直後にすでに役所を退職していた原子力分野の専門家の同僚に「原子力について教えてくれ、本を書きたいんだ」などとお願いしたことに始まるわけです。


ただし、氏が政策立案のプロフェッショナルであるエリート官僚であることは事実で、わざわざ電波芸人に軸足を置く必要などなかったはず。実際、経産省で左遷された後も公務員制度改革の事務方に抜擢されたり、経産省を追放されてからも大阪府の顧問を務めるなど、その手腕には一定の評価がされているのも事実です。電波上で媚びない正論を述べ続ければ、きっとまわりまわって本業の政策顧問としての評価につながるという正の循環が機能したはず。筆者は氏がポスト池上彰に成れた可能性は十分にあったとみています。

ではなぜ古賀さんは4番ゾーンに定着せず報ステレギュラーから転げ落ちてしまったのでしょうか?実は筆者は、電波芸人のパフォーマンスには専門性や大衆迎合度とは別に「社会や古巣に対するルサンチマン度」という重要な隠れ要素が影響しているとみています。これが高い人は、どんなに専門性が高くてもスポットライトの当たる表舞台から転げ落ちてアングラ世界に転落してしまうケースが多々あります。

そして、このルサンチマン度は、終身雇用型組織に勤める真面目な秀才タイプほど高く蓄積してしまう傾向があります。なぜか?普通のチャラチャラした人間であれば、ルサンチマンがたまる前に転職するか、在職し続けても適当に手を抜いてサボるのでルサンチマンとは無縁な人生を送ります。新橋で夜「会社はぜんぜんわかってねえんだよ」とくだ巻いてるオヤジはたいていこのパターンですね。

でも、真面目な秀才タイプは根が真面目な分、報われなくとも一生懸命に努力し続け、結果的に後戻りできない年齢に到達した時には、高濃度のルサンチマンを脳内に蓄積してしまうわけです。

恐らくは古賀さんも、古巣に対するルサンチマンを高濃度に蓄積してしまった一人でしょう。他に元官僚で古巣に対する怨念から暴走気味の人というと外務省OBの天木、孫崎コンビが真っ先に思い浮かびますが、彼らも元レバノン大使、元イラン大使という主流派からは程遠い微妙な経歴の持ち主で、さぞやルサンチマンを溜めまくっていることでしょう。この点、同じ外務OBでもノンキャリア出身の佐藤優はもともとルサンチマンなんてものとは無縁な分、しっかり2番ゾーンに根を張れているわけです。



以降、
既にあらわれていた氏の変調
メディアと電波芸人の相互依存
勝間和代はいかに群雄割拠の中原を制したか




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Q:「大企業の健康保険料引き上げに断固抗議したいです!」
→A:「サラリーマンは新橋でデモくらいやるべきです」



Q:「福祉レジーム論をどう思いますか?」
→A:「アングロサクソン型がいいって人に会ったことないですね」



Q:「健常者が障害者となった後のキャリアの描き方について教えて下さい」
→A:「会社によって全然違いますが、大手なら特に不利益はないでしょう」







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著作
「10年後失業」に備えるためにいま読んでおきたい話


それゆけ!連合ユニオンズ[上]


若者を殺すのは誰か?


7割は課長にさえなれません


世代間格差ってなんだ


たった1%の賃下げが99%を幸せにする


3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代


若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来
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城繁幸
コンサルタント及び執筆。 仕事紹介と日々の雑感。 個別の連絡は以下まで。
castleoffortune@gmail.com
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