先見労務管理「“残業チキンレース”をやめ時間あたり賃金の上昇を」寄稿のお知らせ

先見労務管理の特集「時間から成果に基づく人事制度へ―新たな成長戦略が閣議決定―」に寄稿したのでご報告。

論点だけ簡単にまとめておこう。


・「残業代を厳しく支払わせれば長時間残業を抑制できる」なんてことをいう人がいるが、現実には会社は一定の残業時間を事前に織り込んで基本給を抑制するだけなので、それによって実現するのは「いっぱい残業しないと生活できない」賃金でしかない。これが日本の長時間労働に拍車をかけている。

・時間から成果にリソースを移すことで長時間残業する必要はなくなるので、時間管理の廃止はむしろ長時間残業の抑制につながる。

・とはいえ、権限と業務範囲の明確化が不可欠であり、職能給から職務給への全面的な切り替えが必要となるので、全面的にすぐに移行できるというものでもない。それを経ずになし崩し的に始めた目標管理が機能不全を起こしたことは記憶に新しい。



週刊エコノミスト「企業の情報開示拡充でミスマッチ改善を」寄稿のお知らせ




週刊エコノミスト最新号「強い大学」特集に「企業の情報開示拡充でミスマッチ改善を」を寄稿しているのでご報告。

論点だけ簡単に紹介しておこう。

・2000年以降、大手企業において、20~30代社員の流動化が急速に進んでいる。これは終身雇用制度のメリットが薄れたために起きたもので若者の教育や精神論でどうこうなるものではない。

・昔から流通系の離職率は3年で4割前後あるもので、それは製造業と違い、勤続年数を重視していない結果に過ぎない。政府が規制で引き上げようとするのはナンセンスだ。

・製造業の多くですら、既に勤続年数に魅力は感じておらず、今後は自ら生き残るために終身雇用制度にメスを入れることになるだろう。

・早期離職自体は、人材が労働市場を通じてより効率的に移動しているわけだから別に悪い話ではない。とはいえ、最初から自身のキャリアデザインに沿った企業に入っておくにこしたことはない。そのためには「上辺だけ取り繕って学生をかき集める」ような昭和の新卒採用スタイルではなく、インターンで生の現場に放り込んで表も裏も見せ切るような採用へのシフトが必要だ。




弱者は市場がないと取引にすら参加できないという現実

昨夜の政策カフェは初めての出席だったが、なかなか興味深いイベントだった。政策カフェというのは、政策に興味のあるビジネスマンや官僚、大学関係者を中心とした意見交換の場で、ビジネスと政策という(本当はもっと人が活発に行き来すべきなのだが)パラレルな世界が接点を持つというのが設立の趣旨である。

さて、昨夜出席した官僚OBや学者の方の発言で興味深いものを備忘録を兼ねて紹介しておこう。
(承認を貰っていないので匿名で)


アベノミクスの第一、第二の矢は短期の効果しかなく、構造改革の推進である第三の矢が実現しないとこのまま尻すぼみになりかねない。

第三の矢の中でも、やはり労働市場の流動化はとても重要だ。先のサッカーW杯で労働市場改革の先達であるドイツとオランダが旋風を巻き起こしたのは象徴的。ドイツもオランダも、日本より年間400時間近く総労働時間が短く、生産性は5割ほど高い。日本は労働の量ではなく質に注力し、生産性を上げる方法をもっと模索すべき。

一応、安倍政権自体は正しい方向を向いており、とりあえず特区を中心とした部分的な規制緩和が議論されているが、国交省や厚労省といった問題省庁がなりふり構わずイチャモンをつけて潰しにかかっており、気の抜けない状況。

「市場原理の導入は弱者に厳しい」というのは幻想で、規制による統制経済は、弱者に優しいどころか弱者を排除することになる。



特に最後の言葉は個人的にも思うところはあって、終身雇用がまさにその典型だろう。
「企業は年金支給開始まで従業員を雇え」という統制経済を推進してきた結果、一流大卒の男子しか取引されず、そのラインからあぶれた弱者や女性が非正規雇用としてリスクを押し付けられている。

筆者も以前述べたように、終身雇用そのものが弱者の排除装置として機能しているわけだ。少子化や格差といった問題は、すべてこの構造に根っこがある。

で、たいてい大声で「市場原理では弱肉強食になってしまう!」とかなんとか騒いでるのって、現在の構造でいいところに潜り込んでる大企業とか公務員の労組といった連中で、そもそも君ら弱者じゃないだろう的な面々がほとんどだ。

この構図は、雇用以外のすべての領域でも見られるものだ。今の日本には、弱者を守れとか、日本の伝統を守れとか声高に叫ぶ連中が多い。でもその多くは、弱者でも愛国者でもなく、単に「既得権という名のプール」に首までどっぷり浸かっていて、プールから出るのがイヤな怠け者に過ぎない。

弱者や未来ある世代がついていっても、恐らく何一ついいことはないはずだ。







O嬢の物語

今週のメルマガの序盤の紹介です。
真面目な論評は偉い先生方が散々されているので、今回は小保方さん問題をキャリアデザインというアングルから検証してみたいと思います。なお、現在、連休モードまっただ中の筆者は固い話を書く気がゼロなので、本文は相当くだけた内容です。

概論 小保方さんのキャリアデザイン

筆者が見たところ、小保方さんは以下の3つの点で、常人にはない優れた能力を持っていると考えます。

・コミュニケーション能力

近年、日本企業が求める最重要スキルとしてしばしばコミュニケーション能力が挙げられます。社会で働く以上、同僚や上司はもちろんのこと、顧客や取引先とも密な意思疎通が欠かせません。時には行間を読んだ上で相手の真意を汲んだ提案をすることも必要でしょう。変な話、単純作業がテクノロジーやグローバル化によって消滅し続ける中、置き換えのきかないコミュニケーションの重要性はかえって増しているわけです。

でも、現在はITや携帯電話の普及で、ともすればコミュニケーション自体が苦手な人が少なくありません。特に「オヤジ連中との会話が苦手」というのは、筆者が学生時代から変わらぬ学生の本音でしょう。

その点、オヤジ連中と密なコミュニケーションを築き、コントロールすらできる小保方氏のコミュニケーション能力は相当高度なものだと思われます。営業部門に配属されれば社内はもちろん、取引先からも可愛がられるマスコット的存在になったはずです。

・組織内における政治力

とはいえ、話が上手いだけでは限界があります。組織内での空気を読み、ヨイショすべき人間はヨイショしつつ、お先真っ暗な人間とは距離をおかないと、せっかくのコミュニケーション能力もぶつぶつ独りごと言ってるのと変わりません。

小保方氏のキャリアの変遷を追っていくと、彼女がコミュ力のみではなく、実に高い政治力を持っていたことがよくわかります。指導教官のコネを使ってハーバードへ、そこで新たに培ったコネを活かして博士論文とその後のポストをゲットと、素晴らしい遊泳術を見せてくれています。

・自分を信じる能力

でも、本当に特筆すべき能力は、自分を信じる能力でしょう。どんなに優秀な人材でも、自分を信じることが出来なければ無意味です。たとえば、自分にはプロジェクトリーダーとしてプロジェクトを成功させるポテンシャルがあるんだと信じている凡人と、正直あんまり自信がないと感じているエリートが闘ったら、経験上、筆者は100%前者が勝つと考えます。

氏のコピペやらすり替えやらは、正直レベルの低いねつ造としか思えませんが、自信満々で半年以上世界を騙し続けることが出来たのは、彼女自身、研究成果が真正だと信じていた結果でしょう。自分でやったトリックに誰よりも自分が引っかかり、ホテルの披露宴会場にメディアを集めて記者会見までやってしまうなんて、もはやこのスキルにおける天才と言っていいと思います。

余談ですが、筆者はサッカー日本代表の本田も、ビッグマウスだなんだと叩かれてはいますが、この能力の重要性に気づき、意識的に自分を追い込もうとしているセルフコンディショニングの上級者だとみています。

上記3つの武器のみで、いかにして自らのキャリアをデザインするか。その観点から氏のキャリアを眺めると、一見運任せに見えるそれが、実に無理なく周到に練られたものであることがわかります。







以降、
O嬢の物語

※詳細はメルマガにて(ビジスパ夜間飛行BLOGOS







Q:「覇気のない新人に困っています」

→A:「覇気がないのは会社にも責任があるので、3年くらいかけて芯を育てましょう」



Q:「セクハラヤジの何が悪いのかわからない、という上司にわからせるには?」
→A:「窓際職の課長だって偉そうなこと言えるいい時代じゃないですか、とか」







雇用ニュースの深層

・DeNAの新卒採用数の1/4は東大生

たまに「東大生の進路一覧をみると今でもみずほ銀行とか日立とかが上位だから大企業志向は不変ですよ」なんてことを言う人がいますが、単に大企業が滑り止め化しているという側面もあるわけです。



・リコーの追い出し部屋は無効判決でリコー敗北?


当たり前ですが、元職場に復職する人たちの賃金は元職場の同僚たちみんなの財布から支払われるわけです。リコー社員じゃない方々はリコー社員を見かけたら「お、この人たちがカンパしあって失業者を支えてくれてるんだな」と優しく手を振ってあげましょう。

他。





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政策カフェ@丸の内のお知らせ

明日18時より、NPO法人『万年野党』主催の政策カフェに出席予定なのでお知らせ。

7月23日(水)18時〜20時半

場所: MARUNOUCHI CAFE 倶楽部21号館
     (東京都千代田区丸の内3-3-1 新東京ビル1F)

詳細はコチラから。


アルコールもあるみたいだし、ざっくばらんな意見交換の場になるんではないかと予想している。










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著作
「10年後失業」に備えるためにいま読んでおきたい話


それゆけ!連合ユニオンズ[上]


若者を殺すのは誰か?


7割は課長にさえなれません


世代間格差ってなんだ


たった1%の賃下げが99%を幸せにする


3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代


若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来
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城繁幸
コンサルタント及び執筆。 仕事紹介と日々の雑感。 個別の連絡は以下まで。
castleoffortune@gmail.com
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