朝日新聞 9月17日朝刊

「民主党代表選特集」

先の若者マニフェスト策定委員会のアンケート結果と共に、インタビュー掲載予定。

NHK総合『特報首都圏』

明日9月17日19:30~、NHK総合にてスタジオ出演予定。

「ミドルエイジ・クライシス  30代 ひずみ世代の今」

受けるだけで若返る魔法の研修


さっきたまたま見つけて思わず笑ってしまったのがコレ。
お馴染み、厚労省指定天下り機関「労働政策研究・研修機構」が、
職員募集で「33歳以下」と年齢差別しているじゃありませんか。


「求人出したいけど、ぶっちゃけ35歳以上はいらないよね。でも今は年齢制限しちゃ
いけない決まりなので、中高年がたくさん殺到してきてうざいよね」
と頭を悩ます全国の採用担当者には朗報だろう。
「長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、特定の年齢層の労働者を対象とする」
と一筆書いておけば正々堂々と年齢差別が出来るわけだ。良かったね。

さて、厚労省や連合といった既得権層よりの論者の中には、流動化論に対して
「再就職訓練等のセーフティネットの充実が先だ」というロジックを弾よけに使うものがいる。
この手の言葉を出されると、まず正面切って反対されることはないから、この弾よけは
とても強力だ。

ただ、人事的な立場からすると、たとえば研修受けただけで人を採りやすくなるなんてことは
正直あまり想像できなくて、重要なのはあくまでも職歴である。
というわけで、雇用主責任を引き下げて雇用コスト下げて、とにかく職場に送りこみやすく
した方が、研修に何十億も予算つけるより効果的だと思われる。
(というか、研修名目で天下り用の組織を確保したいだけだろうけど)

たとえば、新卒向けに全国で研修やるよりも、「3年間は理由のいかんを問わず解雇可能」
とやった方が内定率向上には役立つし、本人達の人材価値も向上するはずだ。
要するに、正規雇用の規制緩和こそが、最大のセーフティネットなのだ。
「セーフティネットが先」と言っている間は、セーフティネットなんて出来るわけがない。

とはいえ、上記のような人達がそこまで言う以上は、求職者が年功序列の壁をパス出来る秘策
でもあるのかなと思っていたら、おひざ元で「33歳以下」「長期雇用前提」である。

とりあえず33歳より年上の求職者は、労働政策研究・研修機構にでも出むいて
「年齢制限に引っ掛かってるんですけど、どうやったら働かせてもらえるんでしょうか?」
と聞いてみるといい。
きっとここの研究部門というのは「受けるだけで若返る魔法の研修」
でも研究しておられるのだろう。

税金で食ってるわけだから、ぜひその成果をご公開いただきたいものだ。

小泉旋風と小沢フィーバーの共通点

先日、若者マニフェスト策定委員会で実施した民主党代表選アンケートの結果がアップされた。
小沢支持が67.8%というのは他のネット調査と整合する結果だが、興味深いのは
「各候補に期待すること」という設問への回答だ。

菅支持層のトップが財政再建だったのと対照的に、小沢支持層のトップは
「既存体制の破壊」、それも実に5割が求めているわけだから、
ほとんど和製リーサルウェポンと言っていい。


この差はいったい何なのか。

実は、もう一つ注目すべき点がある。小沢支持層の16.7%が行革を期待している一方で、
菅総理にそれを期待している人は皆無である。
行革というのは、実は既存体制の破壊と表裏一体だ。
公務員制度改革の停滞を見ても明らかなように、自治労の既得権にがちがちに縛られた民主党
には、それを実行する能力は無いだろう。
実は小沢支持層というのは、無党派層を中心としたアンチ民主&民主に幻滅した有権者
ではないか。
そう考えると、やっぱり勝つのは菅さんかもしれない。
(民主のサポーターになるような人は、最初から行革も破壊も望んでいないだろう)

「自民党をぶっ壊す!」の小泉政権を支持した無党派層の期待も、やはり既存体制の破壊に
あったことは間違いない。日刊ゲンダイは例外として、小泉改革の支持層と小沢フィーバー
の担い手は結構被っている気がする。かく言う僕も、そうだから。

もっとも、小泉改革は「小さな政府」というとても分かりやすい方向性を掲げていたが、
“小沢政権”というヒョウタンから何が出てくるかは振ってみるまでわからない。
そういうジョーカーへの期待がこれほど高まるということは、それだけ日本が追い込まれて
いるということなのだろう。

雑感@民主代表選

民主代表選が盛り上がっている。
正直、政策的な差はよくわからないし(お互い突っ込んだ話は避けているように見える)、
世代間格差的な視点はまったくお持ちでない両者なので、どっちをどうこう言うつもりは
ないのだけど、民主党のセンセイ方の人間模様が人事屋としてはすごく興味深い。

まず、菅陣営で士気旺盛な人といえば、前原、野田、枝野、仙谷あたりなのだけど、以前から
いわゆる“反小沢”と言われていた人達ばかりだ。
要するに負けたら干されるというわけだろう。
小沢さんはなんたって公的な政党助成金を好き嫌いで分配してしまう人ですから。
以下、一円の助成金も受け取っていないという民主党・小林興起議員のお言葉。

「政党助成金はクリーンでも何でもない。税金から出た金が一部の党幹部に差配されるのだから
こんなに恐ろしい制度はない」(文藝春秋7月号より)

そりゃ皆さん必死になりますね。

一方、代表の菅さんがあんまり乗り気でないというのも興味深い。鳩山さんの話では
手打ちにしようとしたけど結局下に担ぎだされてしまった形らしい。

全体的に菅陣営からは「ぜひ菅さんに」というよりも「小沢さんが嫌いな人達の避難所」
的なオーラを凄く感じてしまう。「小沢さんでひと山」的なギラギラした小沢陣営とは
実に対照的だ。
こういう一風変わった結束って過去にあったかなと思って色々考えてみたけれど、やっぱり
関ヶ原の西軍なんじゃないかな。トップ(=毛利輝元)が腰が引けているという点もそっくりだ。
いや、結果はわかりませんけどね。

ついでにもう一つ注目したいのが、民主代表選の影に隠れて派閥崩壊中の自民党である。
このことからは、中の人たち自身が、自民の地盤沈下は一向にストップしていないと認識
している事実がうかがえる。
先の無い組織で滅私奉公したって意味はないから、彼らが流動化するのは合理的な選択だ。

民主が迷走する一方、自民も求心力が低下し続けているという現実は重要だ。
恐らく、きっかけさえあれば一気に政界再編まで進むだろう。
そのきっかけが小沢総理の誕生か、小沢さんの敗北→民主分裂かはわからないけれども、
どちらにしても小沢さんが絡むのは間違いない気がする。

30代の一人としては、徹底した小さな政府路線と規制緩和によるまっとうな成長戦略を
柱とする政党が、二大政党の一角を占めることを期待したい。
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城繁幸
コンサルタント及び執筆。 仕事紹介と日々の雑感。 個別の連絡は以下まで。
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