ブルーノ


先日、映画「ブルーノ」を見てきたので軽く感想。
きわめて鑑賞者を選ぶ映画ではあるが、前作「ボラット」が良かったという人にはおススメしたい。
僕はDVD買ったくらい前作にはまったので、もちろん今回も大当たり。
マイケル・ムーアから政治色を抜いて毒だけつぎ足したような作品だ。

前回はカザフスタンの国営放送リポーターという設定だった主演のコーエンが、今回はオーストリアのゲイ
のリポーターに扮して暴れまわる。基本的に彼だけが演技で、素人の生のリアクションを引き出すという
流れは前回とまったく同じ。

中東からイタリアまで飛び回るが、やはり一番の被害者は、今回もアメリカ人だ。
世界一自由で世界一豊かな国の住民たちは、なぜこうもいじりがいがあるのか。

正直言うと、中盤までは強引さにやや引く場面もあったが、ラストの金網マッチだけでも元は取れた気がする。※

以下、個人的にツボだったポイント。
1.ハリソン・フォード独占インタビュー
2.メル・ギブソンに「総統!」
3.エンディングの歌詞「北朝鮮も韓国も仲良くして、どっちも同じ中国人じゃない」

思うに、建前と本音のギャップがある国でこそ、このアプローチは成立するのだろう。
自由と人権重視の国なのに、ユダヤ人や同性愛者を叩きだせという人々がいたり、役欲しさに
体重15kgの子供に「5kgダイエットさせます」という母親がいたり。
そういう点では、日本でもこういう疑似ドキュメンタリーは成立する気がする。
雇用問題なんて、建前と本音のギャップがすさまじい分野なので、結構面白い企画になりそうだ。


※「タイタニックが好き」という人にはおススメしない。

4月8日(木)のつぶやき

09:40 from web
新党の政策は「3本柱」で、(1)経済の回復と成長(2)財政再建と税制の抜本的改正(3)安全保障っていうが、逆にこれらを否定する政党なんてありえるのか。: http://bit.ly/9jEaZR
12:20 from web
「南アフリカはヤバイ」という意見は話し半分だと思っていたが、実際に行って半殺しにされた人を二人知っているので案外正しいかも。ちなみに一人はMNJの渡邉氏。
13:20 from web
マーゴが見られなくなったらどうしよう。:セクハラで 田勢早大教授が「解職」http://bit.ly/8Xc5id
18:46 from web
流行って…るの?: 「総書記ファッションが世界で大流行」http://bit.ly/baJG8B
20:26 from web
鳩山さん!スポンサーが怒ってるぞ(笑): 連合会長、鳩山政権に「グランドデザインがない」http://bit.ly/cBOZsv
20:29 from web
でも、実効性のあるグランドデザイン出そうとするとスポンサーが邪魔な気もするな…
20:40 from web
そう考えると、別に連合がスポンサーでも何でもないのに、そこを突こうとしない自民ってやっぱり恐竜なんだろうな。
by joshigeyuki on Twitter

選ぶなら、降格制度のある会社がよい


今週号のAERA、特集「ポストと年収」が興味深い。
前半では、事実上崩壊した年功序列制度の現場ルポが続く。
ババをつかまされたのはバブル世代だ。同期の一割も課長に昇格できていない大手メーカーがある一方で
日本企業の平均課長年齢は既に30代に低下し、団塊ジュニア世代に移りつつある。
つまり、バブル世代の飼い殺しが進んでいるわけだ。
もちろん、2、30代も安穏としてはいられない。ポストが今後増えるどころか減ることが確実な以上、
バブル世代の惨状は10年後の自分自身かもしれない。

では、日本企業の人事制度はどうあるべきか。
僕自身も登場する後半の「役割給で始まる大降格時代」では、一部の企業における先進的な取り組みが
紹介される。要するに職務給のことで、勤続年数によらずにポストに抜擢・降格する流動的人事のことだ。
個人的にキヤノンやリクルート系のリンクアンドモチベーションの事例は知っていたが、脱年功序列の
動きが他にもこれだけ広がっているとは知らなかった。※

もっとも、脱終身雇用、脱年功序列は時代の潮流であり、手を打つなら早い方がいいのは言うまでもない。
ずるずる引っ張っても組織の活力をそぐだけだろう。
内田樹氏のような時代に取り残されてしまった老人には「日本型雇用が復活している」と見えるらしいが、
動いているように見えてもそれは死後硬直だ。

それでも「終身雇用は日本の文化」とか「労働者よ団結せよ」という浅学な方は、ごたく並べてる暇が
あったら、とりあえず低賃金で滅私奉公好きな若者をいっぱい探してこないとね。
求人要件には「マゾ」って書くといいんじゃないかな。

ところで、こういう風に組織として正しい方向を進んでいる企業はいいが、問題はそうでない企業だ。
適正なリソースの再分配ではなく、若手の昇給昇格抑制しか頭にないようなこちこちの組織にいる人は、
ご愁傷様というしかない。
団塊と比べて生涯賃金を3割程度引き下げるという話は聞いていたけど、この調子だとテレビ局なんて
半減するのではないか。

そういえば、以前、どこかのテレビ局の新人達と番組で同席した時のこと。
正直言うと僕は「今どき、デフレに加えて産業構造的に地盤沈下している業種の、しかも既得権見直す気ゼロ
の会社に入社するなんて、なんてボランティア精神あふれる若者たちだろう」という労りの目で彼らを
見ていたのだけど、表情を見ていると、どうも「僕たち私たち、勝ち組!」って思ってたような気がする。

ちゃんと新人だけ新給与制度に切り替えたり、別会社扱いにして賃金を3割カットしてくれる心優しい会社
ならともかく、そういう現実に気づかないまま住宅ローンとか組んじゃったらどうするんだろうか。
まあ、ツケというのは結局は誰かが払わないといけないわけで、トロい奴が犠牲になるのは自己責任
というしかないが。

円天みたいなネズミ講にだまされる老人を見て笑う若者は多いが、ネズミ講はなにもマルチビジネスだけ
とはかぎらない。引っかかりたくなければ、アンテナは高く上げておくことだ。


※年俸制の管理職限定だったり、年齢給部分は残している場合がほとんどなので、文字通りの“流動化”
 とまでは言いきれない。

4月5日(月)のつぶやき

08:32 from web
超絶バカ高校なのか、超絶バカ教師なのか、どっちだ?: 私の飼い猫の名は?…高校教諭がテスト出題: http://bit.ly/9Lf0Fb
09:10 from web
いや、「ちゃんと猫の話はしてたのか?」とかそういう問題じゃないから。
09:13 from web
ゲッコーのようにはいかないか。というか、ウォール街に続編があったのか… :マイケル・ダグラス、金融危機で資産の40パーセントを失っていた: http://bit.ly/dBTRZO
11:57 from twitterfeed
トヨタに見るムラ社会の頑迷さ: トヨタのメディア対応が相変わらずらしい。要するに、不都合な情報を流される可能性のあるメディアに
対しては、貝のように口を閉ざしているということだ。
だが、きちんと対応して自分の言い分を言わなければ... http://bit.ly/agjlUg
14:42 from web
リクルートの人間て、自身は柔軟性があって優秀なんだけど、なぜか言うことは古いんだよなぁ。体育会系営業の限界か。: 「勉強会に1万円払うなら、上司と3回飲みなさい」http://bit.ly/8Xd51r
14:56 from web (Re: @AstToAst
@AstToAst 本人の情熱と素質を慮った上で助言。物質的安定性だけなら企業にいた方がいいが、情熱のある人間に無理に滅私奉公させることは、それ自体が不幸だから。
17:44 from web
週刊現代、特集「日本経済は死ぬのか。韓国に負けてどうすんの?中国に負けて恥ずかしくないの?」一般誌でもこういう特集が組まれるようになったことは喜んでいいのか悪いのか…
17:53 from web
A.T. カーニーの吉川尚宏氏:「中国みたいに経済特区を作って法人減税や雇用規制撤廃すればいい」。正論だけど共産国の経済政策ぱくる日本っていったい…
17:58 from web
野口先生の悲観論はいつものことだが、クレディ・スイスの白川浩道氏も「早期に社会保障給付にメスを入れなければいずれは消費税35%に。少子高齢化のスピードを考慮すればマイナス成長も」
18:04 from web
東証の斉藤社長「内国債だから大丈夫という人もいるが、資産を有効に使わず国債なんかにつぎ込んだ結果、10年で一人頭GDPは世界3位→23位」
18:10 from web (Re: @sarasaatenoban
@sarasaatenoban おお、こんな機能があったのか。でも、“つぶやき”のニーズはあるんだろうか。
20:31 from web
週刊現代の阿部寛インタビューが面白い。「役者になったのは、うちの大学だと大企業に行ってもせいぜい部長にしかなれないと就職課に言われたから」 今は課長にすらなれないんですが。
by joshigeyuki on Twitter

トヨタに見るムラ社会の頑迷さ

トヨタのメディア対応が相変わらずらしい。要するに、不都合な情報を流される可能性のあるメディアに
対しては、貝のように口を閉ざしているということだ。
だが、きちんと対応して自分の言い分を言わなければ、「反論の意思も能力も無い」とされて一方的に
報道されるというのが世界のルールだ。特に海外メディアは容赦ないだろうから、こういう判断を
している理由がまったく理解できない。

それはともかく、こういう問題においても、労使が揃って「取材拒否!」と足並みを揃えているのは
こてこての日本企業らしくて実に微笑ましい。
会社の直面する問題に対して、労使ががっちりとタッグを組む構図こそ、日本型雇用の真の姿だ。
終身雇用で他に逃げ場がないのだから、こうなるのは当然。
愛社精神だのチームワークだの言われているものの正体は、
経営的な手法でも何でもなくて、 ムラ社会の副産物の一つにすぎない。


ところで、このアングルは、そのまま他の“課題”に対してもあてはまる。
たとえば、リコール問題を派遣切りに置き換えてみてほしい。派遣切りを追及され過ぎて困るのはだれか。
同一労働同一賃金が実現して困るのは誰か。

偽造請負だってそうで、これを労組が関与せずに受け入れるなんてことはありえない。
実際、この問題を追っていた某紙の記者は、松下の労組に何度取材を申し込んでも逃げられると
こぼしていた。

労使対立という言葉は、こういうアングルがばれてしまうと不都合な人たちが利用しているカモフラージュ
にすぎない。騙されて共産党や社民党に投票しちゃったような人は、これを機に目を覚まそう。
このままだと連合の既得権強化に利用されるか、
赤旗という名の(御利益ゼロの)お札を売りつけられるだけだ。


ついでに言えば、こういう体質のトヨタがこれまでまったりと繁栄してこられたのは、大手メディア自身
もまた、強固な終身雇用システムで保護されたムラ社会だった点が大きい。
労働市場が流動化しているアメリカなら、彼らはジャーナリズムという共通のスコアカードを持っているが、
日本の記者もテレビマンも、実体としては「オラが会社が日本一」
という普通のサラリーマンでしかない。

だから、広告料という鼻薬にはだれも逆らえない。


そう考えれば、実はトヨタというのはグローバル企業でも何でもなく、ムラのメディアを上手く
コントロールしつつ、ムラ社会式に作った車をムラ社会中心に売っている巨大な一つのムラだったのだろう。

さて、ムラ社会トヨタは変われるだろうか。
言うこときかない海外メディアは一切取材お断り、という姿勢からは、
「よそもんは来るでねぇ!出てけ!」といって引きこもる村民のイメージしかわいてこない。
三河の田舎企業がグローバル企業になる日は遠そうだ。
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城繁幸
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