週刊 東洋経済 2010年 10/16号 [雑誌]
クリエーター情報なし
東洋経済新報社


今週号の東洋経済「本当に強い大学特集」、僕もコメントしているので少しだけフォロー。
いつも言っているように、日本の教育システムと企業の間には、深い深い断絶が存在する。
年功序列で終身雇用ということは、下っ端を雇って何十年もかけて組織内で育成すると
いうことだから、専門性など必要ないためだ。極論すれば、入学時点で大学の役目は
終わっていることになる。

この断絶の深さを端的に示しているのが、大学への入学者に占める社会人の割合で
OECD平均の21.3%に対し、我が日本国は1.8%に過ぎない。

要するに、大学というものがまったく社会に貢献していないわけですね。国も大人も若者に
「もっと勉強しろ」と言い続けているけど、当の大人がこれじゃあ説得力がないでしょう。
大学にいくら予算をつぎ込んでも、この状況は変えられない。だって、学問自体への需要が
ないのだから。せいぜい建物や施設が豪華になり、職員の給料が上がる程度の話だろう。
抜本的解決には、勤続年数ではなく能力で評価する仕組みの導入が必須である。

それがないがゆえに、キャリア戦略上もっとも重要な30代に穴をあけて大学進学する人間
などいない(そもそも離職してしまうと再就職できる保証がない)。
企業派遣で海外留学させてもらって帰ってきても、別に評価されるわけでもないから
外資に転職することになる。
そして、学生も入学時点でゴール到達だとばかりに遊びほうける。やはり勤続年数が重要で
あるがために、女性は就労と育児がトレードオフになってしまうため、結果的に少子化になる。
新卒でこけてフリーターになった人間は、ずっとその後もフリーターにロックされてしまう。

日本の直面する課題のかなりの部分は、この「勤続年数で人を評価する仕組み」に由来する。
まあ、ある程度リテラシーのある人なら、薄々感づいているとは思う。
でも、この問題はあまりにも根っこが深すぎる。

というわけで、財政も厳しいことだし、思い切って文系学部への公的助成はゼロにして、
理系の上位校だけ手厚くすればいいんじゃないか。
文系は入試だけやって「東大法学部、入学有資格者」なんてカード持たせてすぐ就職させた方が
長い目で見て本人の能力は向上すると思われる。
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