週刊文春の今週号『「年金崩壊」70歳支給で1600万円が奪われる』にコメントしているので
簡単に紹介。

なかなか刺激的な内容だ。以下、目にとまったもの。

「私の計算では厚生年金は2033年、国民年金は2037年に(積立金が)ゼロになります」
(学習院大・鈴木教授)

そのために、厚労省は支給開始年齢を引き上げて事実上の給付カットにつなげたいというわけだ。
ただ、それで年金制度が盤石になるかと言えば、それも怪しい。

「今、厚生年金の加入者は3450万人いて、2.5人で1人を支えていますが、2050年には
1.39人で1人を支えることになる。もう神輿じゃなくて肩車」

(目白大・宮武教授)

もはや賦課方式自体が限界であり、事前積立方式に移行するしかないのだ。

「50歳未満の人は定年後、働かないという選択肢はほぼないと考えた方がいいでしょう」
(FP・藤川太)

ちなみに、タイトルの1600万円というのは、60歳以上と比べて、50歳未満はそれだけ年金が
減額されることを意味している。減った分は自分で資産形成しておく以外に道はない。
(もちろん、その間もしっかり保険料は負担しないといけないが)

それが出来なかったら?
最後の防波堤、生活保護が待っている。65歳以上は認定されやすいから、これから支給開始
年齢引き上げに伴って大量発生する年金難民は、生活保護に雪崩れ込んでくるだろう。
それに比べれば「生活保護3兆円」なんて衝撃でもなんでもない。
支給開始年齢を引き上げたとしても、その先に待っているのはなんとも憂鬱な未来だ。

もっとも、支給開始年齢を少々いじったところで、基礎年金の国庫負担分すら賄えない財政状況
を考えれば、どのみち団塊世代も逃げ切れないだろう。現行制度を維持するメリットがあるのは
「あと数年だけ考えていればいい超高齢者」と、社会保険料を手放したくない厚労省くらい
だと思われる。

今回の支給開始年齢引き上げ騒ぎで、多くの人が年金制度の惨状に気付いた今こそ、
抜本的な制度改革の好機かもしれない。
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