ふと、パナソニックの社員平均年齢が44.6歳になっていることを知って驚いた。
ちなみにソニーも41歳。洗練されたブランドイメージのある両社だが、
はっきりいってオッサンのオッサンによるオッサンのための会社である。

90年代、バブル崩壊後に新規採用を大幅に削ったあたりから、日本企業の高齢化は
危惧されてきたことだ。
終身雇用で既存社員の雇用を守りつつ、新卒採用を削り続ければ
こうなるのは当たり前だろう。

当時の電機はまだ30代半ばで、唯一40代だったNTTは「さすが親方日の丸」と笑われて
いたものだった。それが今や、軒並み40歳を越えている。一番若い日立で39.9歳だ。

方向性の見えている日立や三菱はともかく、40代中心の組織で新たな柱をこれから
立ち上げねばならないパナソニックやソニーは、まだまだ厳しい道のりが続くはずだ。

さて、その一方で、呑気に「新卒採用4割カットし続けます」宣言を出している組織もある。
国家公務員採用、4割超削減めざす 政府方針
笑ったのは岡田副総理の以下の言葉だ。
「民間企業ならまず採用を抑えるところから入る。
公務員は途中で辞めてもらうことは難しいので採用で抑えるしかない」


民間企業だって本音では新規採用を抑えたくて抑えているわけではない。
新規採用を減らすことがどれほど組織の活力を奪うか、民間で働いたことのある人間
なら誰だって知っていることだ。にもかかわらずそうしてきたのは、賃下げもクビ切りも
規制されてきたからだ。
老いてしまったパナソニックやソニーは、日本型雇用の一つの到達点だろう。

一方で「途中で辞めさせるのが難しいから採用4割カットします」とあっさり公言してしまう
岡田さんは気楽なものだ。なぜなら国家公務員は独占事業だから。
ある日突然、海の向こうから半値の新製品が上陸してくる心配なんてする必要が無い。
心おきなく新卒採用カットを継続して、人件費の帳尻だけ合わせていれば済む話だ。
氏の発言からは、少なくとも現政権の頭の中には、日本企業に必要な処方箋はもちろん、
サービスの受け手である国民という視点もまったく存在していないのがよく分かる。

これは何も民主党だけの話ではなく、長年にわたり雇用問題をほったらかしてきた自民党
にもそれ以上の責任がある。

唯一、労働市場の流動化をきちんと明言している維新の会がなぜこれほどの期待を
集めているのか、既存政党の政治家は真剣に分析してみることをおススメする。
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