本屋に並んでいるのを見て自分が出ていることを思い出したので紹介。筆者は単独インタビュー「『給料がヤバい』の背景にあるもの」と、新井紀子・国立情報学研究所教授、柳川範之・東大大学院経済学研究科教授との鼎談「あなたの仕事がなくなる日」に登場している。以下、概要。

いつも述べているように、日本人の給料が上がらないのは、賃上げより雇用死守を優先し、将来の業績悪化時に備えようとする終身雇用そのものが原因であり、労働市場の流動化なくして掛け声だけで賃上げは難しい。また、解雇規制の緩和は若者に雇用機会を増やし経済の成長率も高めることで全体のパイを増やす優れた成長戦略でもある。

一方、IT化に加えて人工知能の発達により、従来は「絶対この仕事は安泰だろう」と思われていたような職種でさえ、十年以内に機械への置き換えが進む可能性がある。「ダメだダメだ!終身雇用という契約を結んだんだからいらなくなっても65歳まで雇うべきだ!」と“べき論”を展開したところで、日本企業だけがそうした甘えを自由市場で許されるわけではない。結局、低生産性ながら65歳まで雇える賃金水準に向けて、賃金はだらだらと下がり続けるだけだろう。

まあ自由市場で飯を食っていない公共セクター中心にそうした“べき論”は細々と生き残るだろうけれども、若年層は彼らについて行ってももっと貧乏になって、最後は反原発とか全然関係ない政治活動に動員されるだけの人生が待っているのでおススメはしない。

筆者は、近い将来、賃金カーブのピークは40歳を下回るようになると見ている。そうなると、それ以上そこに留まる理由がなくなる一方で(きっと年金支給額もこれからカットされるだろうから)個人は残り40年ほどの人生を再設計する必要に迫られるはず。柳川氏の提唱する『40歳定年制度』は少なからぬ人のアレルギーを刺激したが、これからは40歳で喜んでリセットボタンを押せる人材にならないと、充実したキャリア構築は難しいはずだ。

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