今週のメルマガの前半部の紹介です。
前回述べたように、4月というのは新入社員が職場に配属される時期です。くわえて、ベテラン社員の中にも、この前後に新たな職場に異動して、新年度を迎えるという人も少なくないはず。4月というのは人事のシーズンと言ってもいいでしょう。

一方で、前職場とのギャップやスタイルの違いからくるストレスを多くのニューカマーたちが感じているはず。4月は勢いで乗り越えても、これから先を考えてブルーになっている人もいるでしょう。ちょうどゴールデンウィークという、自分自身と向き合うのにぴったりな時間的余裕もあります。
「あぁ、なんだか出社するのかったるいな~」
と感じたら、あなたは既に五月病の初期症状にあるのかもしれません。

五月病と呼ばれるものは、春の人事異動の後に個人が感じる無気力感や倦怠感のようなもの総称です。新しい環境に適応しきれていない中で感じるストレスが原因であるとされていますが、正式な病名というわけでもありません。五月病と呼ばれるものの原因は何なのか。そして、個人はそれとどう付き合うべきか。いい機会なのでまとめておきましょう。

人事異動と五月病の切っても切れない関係

人には常に何らかの欲求があり、その達成感を得るために日々生きています。腹が減ったら飯を食って満腹感を得る。便意を催したらトイレに行って開放感を得るといった感じですね。欲求はエンジン、達成感はガソリンみたいなものだというのが筆者の見方です。不味くて満腹感の得られないレストランには誰も行こうなんて思わないでしょう。

仕事も同様です。人よりいっぱい稼ぎたいか、そこそこでいいかといった違いはありますが、誰でもお給料をもらうために日々働いています。たまに「仕事は金ではない」なんてきれいごとを言う人もいますが、給料無しでも働きたいなんて人はいないでしょう。

さて、その仕事における達成感ですが、ここ日本では終身雇用という特殊な報酬システムのせいで、いまいちお金では推し量りづらいものとなっています。たとえば同僚の2倍頑張って2倍の成果を上げても、ボーナスやサラリーが2倍もらえるという人はまずいないでしょう。せいぜい1割くらい上乗せされるくらいで、それくらいの活躍を十年くらい続ければ、後々同期よりは出世できるかもよ?というのが、わが国が世界に誇る終身雇用・年功序列の文化です。

だから、自然とわが国の会社員には、サラリーの金額にこだわらず、組織の中で認められたいとか、社会に貢献できる仕事をしたいとか、もっと単純にお客さんが喜ぶ顔が見たいとか、そういう方向に達成感の方向が多様化している人が多いように思います。

もちろん基本は“お金”なわけですが、これはこれで日本型雇用の一つの強みと言ってもいいかもしれません。組織や社会貢献をしたいと考えている人は、それだけ長期的な視野に立って仕事をしているわけですから。リーマンショック後に、米国の投資銀行各社が、報酬の一部を会社が長期間預かることで、行員に長期的な視野を持たせようとする改革に揃って踏み切るのを見て、筆者はあらためて日本型雇用の長所を実感したものです。

ただし、これには強い副作用もあります。「報酬では報われづらい、ならば組織や社会への貢献度で達成感を得よう」と考える人が育つ一方で、同時に「やってもやらなくても変わらないなら、何もやらない方がトクだ」と考える人が育ってしまう可能性もあるからです。

もちろん、実際に何もやらないわけではなくて、彼らはそこそこには働きます。自分の担当範囲だけはルーチンワーク化してきっちりやるけれども、それ以外はけして手を出さない。新しい企画にはまずやらない理由を探す。仕事は生活費を得るための手段と割り切って、いかにエネルギーを使わずに流すかに注力する……つまり、会社にとって“冷めた人材”になってしまうわけです。筆者の感覚でいうと、少なくとも30歳以降は過半数の人が大なり小なりそういう傾向が出てくるものです。

彼らに、再び本業で達成感を得てもらうにはどうするか。慣れた職場を出して、新たな環境に移すのがもっとも手っ取り早くて確実な方法ですね。彼が慣れ親しんだルーチンの器をぶっ壊してしまうわけです。そうすればイヤでも眠っていた能力を発揮して、ゼロから消化吸収せねばなりません。その過程で、新たな知見やテクノロジーを取り込むことも可能でしょう。

これが、日本企業が、数年ごとに社員を異動させるローテーションが大好きな理由です。どこのポストでも勤まるゼネラリストを養成することに加えて、リセットボタンを押すことで、ともすれば守りに入りがちな姿勢を正す狙いもあるわけですね。

もちろん、リセットボタンを押された側は、別に給料が増えるわけでもないのに、これまで積み上げてきたものを大なり小なりリセットして新しく積み上げる作業に取り組まねばならないわけで、強い負担感を感じることになります。これが五月病と呼ばれる現象の本質だというのが筆者の見方です。

ベテラン人事の間で、こんなことわざがあります。
「3年続ければ、その業務について一通り経験できる。5年続ければ、自力で改善できるほど習熟する。だが10年続けると人材が腐る」

どんなに優秀な人材でも、10年いると新たに伸びる部分より、惰性で流す部分の方が大きくなるということです。一人や二人、そういう人がいてもいいのですが、多数派がそういうスタイルになると、組織は柔軟性を欠くことになりかねません。それを防ぐのがローテーションであり、五月病と呼ばれるものの多くは、その副産物ということです。


以降、
こういうタイプが五月病になりやすい
五月病はこうして乗り切れ
五月病の予防接種のススメ


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Q:「たった8か月での異動はアリですか?」
→A:「期待されている新人ならありえます」



Q:「上司との不倫の清算で困っています」
→A:「会社は必ずしも正義に基づいて行動するとはかぎりません」







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