今週のメルマガの前半部の紹介です。
厚労省が有給休暇の5日ほどの取得を企業に義務付ける方針だそうです。確かに日本の有給取得数は他国の半分ほどだし、上手くいけばワークシェアリングも進みそうだしで、一粒で美味しい政策にも見えます。

でも、なぜ日本人は有給を取らないのでしょうか。そして、お上に頼らずとも有給を上手く消化する方法はないのでしょうか。いい機会なので、今回は日本企業と有給休暇についてまとめたいと思います。

有給休暇と査定の微妙な関係

さて、有給をいかに消化するかを考える前に、そもそも有給消化しすぎると人事的にはどうなのかという点を整理してみたいと思います。

20年くらい前だと、残業時間が立派な評価の基準の一つになっていた会社は多くありました。有給取得率の低さも同様ですね。少なくとも有給を毎期100%消化している従業員がいたら、査定の時に「この人は本当にこの評価でいいのか」というチェックを入れる管理職や人事は普通にいましたね。

とはいえ、2015年現在、有給取りすぎる従業員をどう思うかと聞かれて「けしからん奴だ」という人事や管理職は少数派でしょう。筆者の感覚だと9割は「もうそんなの気にする時代じゃないでしょう」と返すように思います。実際、有給取得率が高いというのはワークライフバランスの優れた優良企業であるというPRにつながるので、多くの大手企業(特に生産ラインがあってメリハリつけやすい製造業)が有給取得率の引き上げに躍起になっています。

残業時間にしても、少なくとも大手であればいかにして長時間残業を減らすかに注力しているもので、残業=美徳と考えている管理部門なんて筆者は寡聞にして知りません。

ただし、実際の評価となると話は少々違ってきます。まず、日本企業の多くはいまでも相対評価、つまり同じ部署内で誰が一番頑張ったか、誰が2番目に頑張ったか~を比べて成績がつけられています。各自のミッションが明確にされていて、それに対して絶対評価がされるというカルチャーではありません(じゃなんで目標管理なんてやってるんだという話ですが、それは実に長くなるのでまたの機会に)。

くわえて、日本企業で一般的な賃金制度は職能給と呼ばれる属人給の一種で、担当する業務で賃金が決まる職務給と違い、各自の業務範囲がきわめて曖昧です。

こうした中で誰と誰を比べてどちらが頑張ったか~を決めようとすると、何が起こるでしょうか。個人でテキパキ仕事をこなして有給取る人よりも、有給なんて忘れて部署内でアレコレ仕事を引き受けて回る人の方が高評価となるのは、ごく自然な流れでしょう。

これはもう評価者の意識や評価制度でどうにかなるもんでもなく、賃金制度を職務ベースのものに切り替えて担当業務の切り分けをきっちりやらない限り変わらないでしょう。逆に言うと、この「業務の切り分けが曖昧な結果、個人より組織重視で取り組まざるをえない姿勢」こそ、日本型経営の強みなわけで、日本企業で働く以上、これはもう宿命みたいなもんだと思って付き合っていくしかないというのが筆者の意見です。



以降、
タイプ別「有給取得日数を2倍にするテクニック」
筆者の考える「有給取得を限りなく100%近くに引き上げる方法」



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Q:「世田谷の住み心地を教えてください」
→A:「飲みすぎると帰るのがめんどくさいことを除けば上々です」



Q:「子会社から親会社への大量出向が意味するものとは?」
→A:「安い兵隊が欲しいか、兵隊が余ってるかのどっちかです」







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